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2022.10.22

ワインとヨガを組み合わせた米国発「マインドフルワイン」が仏、伊でも人気

Getty Images


「新型コロナ以来、健康であること、健康に気を配ることはより重要になっている」とコガンマリーは続け「人々は疲れやストレスを感じている。ヨガやマインドフルネスは癒しに役立ち、ワインを加えることでさらにリラックスできる」と持論を展開する。

ワインツーリズムの専門家であるコガンマリーは、欧州ではヨガとワインの体験をさらに人気あるものにしている別の観光トレンドがあると指摘する。「地球温暖化や二酸化炭素排出量を減らすために、なるべく地元に滞在してガソリンを使わないようにする『プロキシミティツーリズム』と呼ばれるものがある。ヨガとワインのクラス、あるいはヨガとワインの隠れ家はこのトレンドの一部だ」と説明する。

Lungarotti Winery(ルンガロッティワイナリー)のCEOキアラ・ルンガロッティは、イタリアのウンブリア州にある自社ワイナリーで提供し始めた新しいヨガとワインの体験がとても人気があると語っているが、これはそうした理由を支えるかもしれない。ルンガロッティは「イタリアの田園風景を眺めながら、ブドウ畑を見下ろす美しい芝生の丘の上でヨガのレッスンを行っている」と語る。その後、来訪者はマインドフルなワインテイスティングを楽しみ、ワイナリー見学やリラックスしたランチも楽しむことができる。トスカーナ、シチリア、ヴェローナなど、イタリアのその他の地域でもワイナリーやリゾートでワインとヨガの体験ができるようになっている。

「ヨガとワイン」から「気功とワイン」へ


フランスのワインどころ、アルザス地方にあるPaul Blanck & Fils Winery(ポール・ブランク&フィルス・ワイナリー)では、ワインメーカーのフィリップ・ブランクはヨガをやめて代わりにブドウ畑での気功の練習に訪問者を招待することにした。気功とは中国に古くから伝わる健康法で、健康のためにゆっくりとした体の動きや呼吸、瞑想を行う。

「数年前に気功を習い、その健康効果を楽しんでいる。そこで、ブドウ畑で気功を体験し、当社の特級アルザスワインを試飲してもらうことにした」

ワインテイスティングではブドウ畑で2、3種類のテイスティングを行い、その後、ワイナリーのテイスティングルームでさらに10種類のテイスティングを行う。すべてのワインは、気功のマインドフルネスを取り入れたブランクの「Geosensorial Tasting」という手法で試飲され、ワインを視覚、嗅覚、味覚だけでなく、地球上のブドウ畑の場所とそれが体験にもたらすものを感じ取るよう、訪問者に促している。この新しいテイスティングスタイルは非常にユニークで、現在、ワイン認証プログラムプロバイダーのワインスカラーズギルドが研究している。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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