地元警察は、ある住民が盗まれるであろうことを予想して看板に追跡デバイスを取りつけ、匿名でその場所を知らせたと考えている。看板がなくなったという通報を複数受けた警察は、回収を希望する被害者数名と看板の場所を共有した。その情報はチェスター郡民主党委員会のメンバーであるアーリーン・タレー(75)に伝わり、タレーは商店街の裏のゴミ箱にある看板を見つけに行った。
トレディフリン・タウンシップ警察の警部補タイラー・モイヤーは、フィラデルフィアの北西に位置する裕福な郊外の町で起きたこの事件を調べていると語った。18年警察に勤務しているモイヤーによると、在職中これまでに選挙看板の盗難事件が「数十件」あったという。
2021年に発売されたAirTagは、自転車から荷物まで警察が盗品を追跡するのに役立ってきたが、密かに人を追跡してストーカー行為をするのにも使われたという報道もあった。しかし、選挙運動の看板の監視に使われるのは新しい。同様のケースで他に報告されているのは、2022年8月にフロリダ州で盗まれた選挙看板1枚がAirTagのおかげで回収された例だけだ。
ペンシルベニアのケースでは、AirTagが取りつけられた看板が工事現場やレストランの近くにあることがわかり、そこからタレーが捜索を開始した。そして、近くのネイルサロンの裏手にあるゴミ箱で看板を発見した。
そうして業務用サイズの大きなゴミ箱の中から、連邦上院議員候補のジョン・フェッターマン、州知事候補のジョシュ・シャピロ、連邦下院議員のクリッシー・ホーラハン、ペンシルベニア州下院議員のメリッサ・シャスターマンなど、ほぼ民主党候補の看板118枚を発見したとタリーはフォーブスに語った。