生理食塩水による鼻うがいで、新型コロナの重症化を抑制

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少し圧力をかけて洗浄液を通す鼻うがいは、これまでにも、コロナウイルスによる感染症や、潜伏期間の短いインフルエンザなどの疾患の期間と重症度を安全に緩和できることが実証されてきた。

今回の研究で重曹とポビドンヨードが選ばれたのは、先行研究によって、MERSコロナウイルスおよび新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するポビドンヨードの殺ウイルス作用が裏づけられており、さらに、重曹によるアルカリ化の影響で、SARS-CoV-1ウイルスの細胞融合および侵入が抑制される可能性があることが示されているからだ。

28日目までの報告によると、重曹で鼻うがいした群では、救急センター訪問者が1人で、入院した人はいなかった。ポビドンヨード群では、入院した人は1人だった。いずれのグループでも死亡者はいなかった。

参加者のうち、11人が鼻うがいに関連する不満を報告し、4人が使用を中断した。1日2回の鼻うがいを続けたと報告した人のほうが、症状が解消する傾向にあった。

先行研究では、新型コロナウイルス感染症に感染した50歳以上のほぼ半数で、診断後14~21日にわたって症状が継続することが明らかになっているのに対し、今回の研究の参加者では、28日目に症状があった人は13%にとどまった。

この研究は、一般化と、比較データセットにおける偏りのリスクという点で制約がある。CDCの全米データは、適切な対照群としては使えなかった。とはいえ実際には、この研究の参加者は、年齢と肥満という点において、CDCデータセットの一般集団よりも重症化リスクが高い。

先行する研究では、生理食塩水に、新型コロナウイルス感染症対策としての効果があることも示されている。2020年の研究では、生理食塩水ベースの溶液を用いたうがいにより、ウイルス量を減らせることがわかった。2021年の研究でも、生理食塩水を「新型コロナウイルス感染症への初期介入」として利用できる可能性が示唆されている。

こうした研究結果も、1日2回の鼻うがいは、重症化を防ぐための「処方せん不要の安全な方法」となりうることを示唆している。

forbes.com 原文

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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