生理食塩水による鼻うがいで、新型コロナの重症化を抑制

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オーガスタ大学ジョージア医学部の最新研究により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性が判明した後に、1日2回生理食塩水で鼻うがいをすれば、高リスク患者における重症化による入院や死亡の可能性を下げられることが明らかになった。

この研究で鼻うがいをおこなった参加者は、全米の患者で見た割合に比べて、入院する割合が8分の1未満にとどまった。米疾病予防管理センター(CDC)の全国統計データによれば、通常患者の入院率は9.47%だったが、陽性判明後に鼻うがいをした研究参加者のうち、入院した人はわずか1.3%だったのだ。

鼻腔の洗浄は簡単で、ターゲットやウォルマートなどのスーパーマーケットや薬局で売られている鼻洗浄用ボトルやネティポット(インド伝統医療の鼻洗浄ボトル)、バルブの付いたシリンジ(バルブの圧縮解放で洗浄液を排出する注射筒)を使えば、誰でも自宅で実施できる。多くの人は、アレルギーや風邪、鼻炎の際の鼻洗浄に、そうした道具をよく使っている。

あらかじめ調製混合された専用の洗浄液を買ってもいいし、沸騰させてから冷ました水、もしくは蒸留水1カップに、塩と重曹それぞれ小さじ半分を混ぜるだけで自作することもできる。衛生を確保するために、水は沸騰または蒸留する必要がある。

研究に参加した集団は55歳以上で、2020年9月24日から12月21日にかけて、PCR検査で陽性と判定されてから24時間以内に参加登録された。これら826人のうち、高リスク患者79人(平均年齢64歳、BMIの平均は30.1)が、鼻うがい研究の対象となった。

240mlの生理食塩水に10%のポビドンヨード2.5mlを加えた群、または、重曹(重炭酸ナトリウム)2.5mlを加えた群に無作為に振りわけ、それぞれ1日に2回、14日にわたって鼻うがいを実施してもらった。

鼻うがいの実施を確認するために、患者は、使用済みの鼻うがい用具の写真をアップロードした。研究者は2日目、7日目、14日目、28日目に、患者もしくは指定された連絡先に電話し、鼻うがいの実施状況と入院状況を確認した。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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