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2022.10.17

サムスンやLGも参戦、ストリーミングプラットフォームの競争が激化

Getty Images

ストリーミング戦争第2弾がエスカレートしている。どのサービスが話題の番組を配信して視聴者をひきつけているかだけでなく、それらのアプリを配信して広告収入を得るために、どのプラットフォームが世界中のテレビメーカーから支持されているかに注目する企業が増えているためだ。

大手テレビメーカーのSamsung(サムスン)は10日、オーストラリア、ニュージーランド、欧州で販売されるテレビ向けとして、競合するテレビメーカーに自社開発のオペレーティングシステム「Tizen(タイゼン)」のライセンスを供与したとニュースリリースで発表した。LinuxベースのTizenはAtamaca(同社のブランドにはSunnyとAxenが含まれる)、HKC(RCAとVispera)、Tempo(Akai、Bauhn、Linsar)が開発したシステムに搭載されるという。

調査コンサルタントのOmdia(オムディア)によると、サムスンは2021年、世界で販売されたテレビのおよそ20%を占め、世界最大のテレビメーカーだった。その結果、プラットフォームを通じてどのようなストリーミングアプリを利用できるか、またそこでどのようにすれば顧客にうまくアプローチできるかを決定するという点でTizenはかなりの市場シェアを獲得することになった。

しかし、サムスンが競合するハードウェアメーカーにTizenをライセンス提供する動きは、ストリーミングの真の価値がどこに出現しているかを示唆している。昨年、Roku(ロク)がPeacock(ピーコック)やHBO Max(HBOマックス)との厳しい交渉で示したように、プラットフォームは今や過去数十年間におけるケーブルテレビ会社のようなゲートキーパーだ。

プラットフォームはコネクテッドTVの体験を管理し、広告収入シェア、スポンサーシップ、データ収集など、ハードウェア販売よりもはるかに高い利幅(および継続的な収益機会)を持つさまざまな方法で収益を上げることができる。

Tizenを通じてユーザーはサムスン TV Plusで広告が入る数十の無料リニア配信チャンネル、ユニバーサルガイド検索機能、音声制御の仮想アシスタントBixbyを利用できるようになる。

今回の発表の数日前には、サムスンのライバルである同じ韓国大手企業のLGが、自社オペレーティングシステム「webOS」のサードパーティーへのライセンス供与をさまざまなインターネット接続機器のメーカー200社以上に拡大・アップグレードすると発表している。LGのプログラムは昨年、少数のパートナーとともに始まった。

また先週、エンターテインメントと半導体を専門とする特許ライセンス部門を分離したXperi(エクスペリ)がニューヨーク証券取引所に上場した。XperiはTivo、HD Radio、DTS、IMAX Enhancedの各部門や、最近買収したミドルウェアのVewdの技術を活用し、コネクテッドTV分野での事業拡大に注力する予定だ。

Xperiは8月にJVCやパナソニックなどのブランドを展開するトルコのテレビメーカーVestel(ベステル)と、TivoブランドのOSを新しいテレビに搭載する契約を締結したと発表した。

XperiのCEOであるジョン・カーチナーはインタビューで、近々追加のライセンスパートナーを発表し、来年にはさらに増える見込みだと述べた。同社は飽和状態にある北米市場以外にも欧州、アジア、中南米など、まだ市場が形成されておらずチャンスがある地域に目を向けて取り組んでいる。
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翻訳=溝口慈子

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