ビジネス

2022.10.09 07:30

小売分野の労働力不足 「オムニコネクティッド」が解決策に


2つ目に重要なのは、やりがいと自分らしさを重視する文化的規範を育てることだ。

小売企業は労働者を支援し、会社のより大きな目的を達成するには各自の貢献が重要であると従業員が理解できるようにすべきだ。また企業は、強固なブランド文化は従業員に強いるものではなく、従業員と共同で作り出すものだということも理解しなければならない。

学習への投資は、会社がやりがいについて真剣に考えていることを従業員に示すもう一つの方法だ。デジタル技術により、従業員の育成の点では多くの新たな機会が生まれている。

イタリア補聴器販売企業アンプリフォンは、ネットフリックスのような対話式ツールを作成し、個人に合わせた自動提案機能を含む学習カタログを従業員に提供している。その結果、受講コースの数は455%伸びている。

3つ目のステップは、柔軟な働き方の新たな形を見つけることだ。

ここで重要なのは、在宅勤務の選択肢を提供することだけでなく、労働者が自分の時間を管理し、生産性を最大化できる自律性を持っていると感じることだ。重要なのは、従業員がデジタルな空間で協働し、互いのスケジュールを効果的に調整できるような適切な技術基盤を導入することにある。

前線で働く小売従業員は、全員の都合に合わせた柔軟な働き方を実現するのは難しいと語っている。こうした極めて重要な従業員の勤務場所の選択肢は限られているが、プライベートにより合致したシフトを選ばせるなど他の分野で柔軟性を提供する方法はある。

最後のステップは、技術の重要な役割を反映したものだ。

小売企業は、デジタルに管理できる未来の小売店と、より柔軟で統合された店舗ネットワークの進化を見据え、固い決意と高いスキルを持った多様で適応性のある労働力を必要としている。

ここで重要なのは、現代的な従業員プラットフォームやコミュニケーションのツール、自動化、データ・インサイト・ソリューションを通して労働者をエンパワーすることだ。

従業員はこうしたツールを通し、事業のあらゆる部分でより効率的・効果的に働けるようになり、必要なときに仕事を最適化するため新たなソリューションやデータの使い方を自由に模索できる。

ここに挙げた4つのステップは従業員と企業の両方に持続性のあるプラス効果をもたらす。成長、スピード、持続可能性を求める小売業界のリーダーの目標と、柔軟性や平等性、仕事のより大きな意義を求める従業員のニーズを満たすことができるのだ。

オムニコネクティッドな体験に投資することが、労働力不足を解決して夜に熟睡したい小売業界のリーダー全員の優先事項となるべき理由はここにある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=出田静

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