日本企業はWeb1、Web2の段階で世界に後れをとってしまいましたが、Web3では遅れてほしくない。そんな日本人としての思いもあり、今回の取り組みに期待を抱いています。All Japan思考もまだ見受けられますが、Web3はいわば“Global from Day One(創業時からグローバル企業)”。今後、日本企業がWeb3をビジネスに取り入れていく中で、リップルのような業界歴の長いグローバル企業との協業が重要だと思います。
また、技術の活用用途を模索するボトムアップではなく、「ユーザーが何を求めているか?」というデザインの観点をもつこともWeb3分野に重要だと考えており、そういう観点からもW3DLの取り組みは面白いと感じています。
両社がパートナーになった経緯
──両社はどのようにパートナーとしての提携に至ったのか?
ブランドン:8月中旬に福岡市の高島宗一郎市長がサンフランシスコのリップル本社を訪問されたことがきっかけでした。btraxも以前より福岡市の起業家育成プログラムを運営している経緯もあり、同じタイミングでリップルを訪問した際に、吉川さんから「XRP Ledger (XRPL)」について説明いただいたのが始まりです。
吉川:XRPLを簡単にご説明すると、2012年から稼働しているパブリックブロックチェーンです。ビットコインやイーサリアム同様、非許可型のオープンソースのブロックチェーンで、リップルがエコシステムの一員として開発支援を行ってきました。
XRPL上の暗号資産「XRP」は、低コスト、高速、スケーラブルな決済が可能なうえに、カーボンニュートラル。これをもとにリップルは、金融機関の国際送金を一例に、企業向けユースケースを切り拓いてきました。リップル社以外にもXRPLを活用する企業やプロジェクトは年々増えており、XRPLのエコシステムが飛躍的に拡大している段階です。
ブランドン:Web3は、分散型ゆえに日本企業にとっては責任の所在が曖昧で、リスキーなイメージもあり、一歩踏み込めない壁だったと思います。XRPLはパブリックブロックチェーンであると同時に、リップルを含むさまざまな企業がすでに活用している実績があり、エコシステムも拡大していることから、企業向けにも相性がよいと感じています。
btrax Founder & CEOのブランドン・ヒル 氏(左)と、筆者(右) Courtesy of the Author