今回、筆者とbtraxのブランドン・ヒルCEOによる、Web3に対する日米の認識の違いや両社のWeb3 Design Labの取り組みへの想い、そして日本企業のビジネスにおける“Web3への適応”への展望に関するディスカッションをお届けしたい。
Web3 Design Labとは
吉川絵美(以下、吉川): まず、「Web3 Design Lab (W3DL)」はどんな取り組みですか?
ブランドン・ヒル(以下、ブランドン): btraxが日本企業とともに、Web3を活用したサービス作りを行うものです。以前よりデザインサービスを通じ、日本企業のグローバル向け新規事業開発をサポートしてきました。今回はその“進化版”のような形です。
日本では「Web3」が一人歩きしている印象があります。Web3の実態がわかりにくく、可視化されていないからでしょう。W3DLでは情報提供、アイデア発想、プロトタイプ作成のほか、リップルのような第一線のWeb3企業とのハブとなって日本企業を支援します。
日本企業のドメスティック、かつ自前主義な傾向をWeb3は打破するきっかけとなると思います。
Web3に対する日米の捉え方
ブランドン:Web3の捉え方には、日米で大きな違いがあると感じます。日本では先の通り「流行って」いる。その以前も「ブロックチェーン」や「暗号資産」という言葉に対し、どこか怪しい印象をもつかたも少なくはなかったはずです。
一方、米国では、これらの言葉はよい意味で特別視されず、ビジネスへの実用化が進められている印象です。シリコンバレーのWeb2企業は、Web3チームを立ち上げるなど、Web3ビジネスに意欲的に取り組んでいます。
W3DLでは、この日米のギャップを解消するために、Web3の基本概念やユースケースの理解のためのセミナー、サンフランシスコでのワークショップやブートキャンプ、プロトタイピング作成など、知識の基盤作りから実際のサービス化に向けたサポートまでを包括的に行います。
W3DLのコンセプトについて説明するbtraxのブランドン・ヒルCEO(手前) Courtesy of the Author
リップルとしてWeb3 Design Labに参画を決めた理由
吉川:私はこれまで約6年間クリプトの業界で働いてきました。リップルではブロックチェーンや暗号資産の技術を、国際送金など社会にインパクトを与える分野で活用してきましたが、一般的には暗号資産というと、投機的なイメージをもつ人が多く、もどかしさを感じてきました。
しかし「Web3」という、ある種のバズワードは、業界にスポットライトが当たるきっかけにもなりました。当事者としては、ようやくメインストリームにこのブロックチェーンというブレイクスルーの技術に気づいてもらえたうれしさがあるのも事実です。