NASA探査車が火星で「未来のお宝」になる人類のゴミを発見

火星のジェゼロ・クレーターの表面にあるパーサヴィアランスのバラシュートとバックシェル。NASAの火星ヘリコプター、インジェニュイティが2022年4月19日に撮影。NASA/JPL-CALTECH


はたして、そうなのか? 多くの人々が民間のミッションで月へ向かうようになれば、こうした初期のアポロ着陸地点は、記念品ハンターの格好の標的になる。

Apollo 11
アポロ11号-NASA-1969年。1969年6月20日に月面モジュール・バイロットのエドウィン・E・「バズ」・オルドリン・ジュニア宇宙飛行士がアポロ11号着陸地点を調査している。彼は初期アポロ科学実験パッケージを開いたばかりで、横にはパッシブ地震実験パッケージがある。月面着陸機、イーグルが右奥遠方に見える(NASA)

「考古学的遺跡から略奪された遺物の骨董品取引が行われており、宇宙関連物の非常に大きなコレクター市場も存在しています」とゴーマンはいう。「そういうコレクターたちがアポロ11号の破片に巨額を投じることは目に見えており、私たちは真剣に警戒する必要があります」

ゴーマンは、アポロの拠点を保護する必要はあるが、それ以前にそこを再訪して現在の状況を調べ、その後の時間と共に変化する様子を評価しておく必要があると考えている。それができて初めて、盗人たちの行為を取り締まることができる。「将来の月面探査機はそれらの場所を監視してその状態を記録するとともに、略奪者たちの証拠、たとえば新しい月面車の車輪の跡などを集めることになります」と、現在月の遺産管理ガイドラインを作成しているゴーマンはいう。「これらは史上最も収集価値の高いものになるでしょう。私たちはこれについて極めて深刻に考え始める必要があります」

もちろんこれは諸刃の剣だ。なぜなら月の有価物のリストを作れば、ただちにその価値を高騰させてしまうからだ。「私たちは、何者かがアポロ11号着陸地点に行けばそれが国際協定違反になるよう、国際合意を取る方向で活動しています」とゴーマンはいう。

アポロ11号着陸地点は、月の数ある名所旧跡の中でも代表的存在だが、他にも、もしかしたら未来の考古学者にとってもっと意義を持つ可能性のあるものがある。1959年、ソビエト連邦のルナ2号は月面に到達した最初の宇宙船になった。「1957年に最初の人工衛星が、そのわずか2年後に宇宙船が月へ行ったのです」とゴーマンは言った。「これは驚くべき事実です。月で最初の人間の拠点、これも保護する価値があります」

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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