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2022.10.01 17:00

10代の天才を発掘する世界的プロジェクト「Rise」が第2期生を発表

エリック・シュミット / Getty Images

エリック・シュミット / Getty Images

ベトナム出身のジェームズ・チャウ・グエンの祖母が2020年3月にがんと診断されたとき、彼女の脳にできた腫瘍はすでに摘出できないほど大きくなっていた。当時、カリフォルニア州の高校2年生だったグエンは、この知らせを特に強く受け止めた。そのわずか8カ月前に、グエンは母親とともに米国に移住しており、パンデミックの中でベトナムに居る祖母に会いに行くことは不可能だったからだ。

「経済的にも精神的にも大変な時期だった」とグエンは言う。

その後、がんに関する研究論文をひたすら読み漁り、免疫療法に関する調査を進めたグエンは、ナノチップを使って唾液からがん細胞を分離する歯ブラシのプロトタイプを作成した。彼は、電動歯ブラシの充電ステーションにあるコンパートメントでサンプルを集め、それを研究所に送ってCAR-T細胞を用いて分析することを想定している。

このデバイスは現在、南カリフォルニアにあるバイオメディカル関連のスタートアップでテストされている。グエンのアイデアはまだ理論上のものに過ぎないが、もしもうまくいけば、祖母のような人々が早期にがんを発見するための商業プロダクトになる可能性がある。

「祖母のような経験を他の人々にさせたくないし、私のような経験もさせたくない。そんな思いでこのプロジェクトを立ち上げた」と彼は述べている。

グエンは、9月22日に発表された「Riseプログラム(Rise Global Winners)」の第2期生に選出された100人のメンバーの1人だ。グーグルの元CEOのエリック・シュミットとその妻のウェンディが資金を提供するこのプログラムは、世界で最も困難な問題の解決に取り組む15歳から17歳までの有望な若者を発掘することを目的としている。

2022年の他の受賞者には、魚から出る廃棄物を利用して廃水から重金属を除去する方法を発明したカリフォルニア州の高校生のJacqueline Prawiraや脳卒中患者のコミュニケーションを支援する脳コンピュータインターフェースを構築したRishabh Ambavanekarらが含まれている。
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編集=上田裕資

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