このたびのエリザベス女王逝去にあたって、パーソンズ氏からForbes JAPANへの寄稿があった。現地の親日家による「国葬までの服喪」「日本から寄せられた献花」についての所感ほかを以下、翻訳掲載する。
国葬までの英国式「服喪」は複雑
エリザベス2世の逝去は、未曾有の歴史的意味を持つ。英国史上最長の統治期間を持つ女王が亡くなったのは、EU離脱に対する国民の支持もおぼつかず、英国が新型コロナウイルスの蔓延や直近の政情不安など喫緊の課題に直面しているさなかのことだった。
国中に悲嘆の声が広がり、国葬までの各規定について多数の情報が報じられた。海外の王室ウォッチャーにとっても、おそらく英国民の多くにとっても、人生で初めて経験する儀式ばかりで、知らなかったことも多々あるだろう(英国の服喪に関しては、以下の政府のウェブサイトで手引きが公開されている(Her Majesty Queen Elizabeth II(GOV.UK)。
「ユニコーン」はスコットランドの国獣
私自身も、スコットランド人の同僚から教わるまで、「ユニコーン作戦」(女王の逝去後の計画は状況に応じて数種類作成されており、そのうち、スコットランドで逝去した場合の対応計画)の由来を知らなかった。
ユニコーンはスコットランドの国獣なのだそうだ。ナショナル・トラスト・フォー・スコットランド(スコットランドの歴史的遺産や自然の保護財団)は、国獣が作戦名に選ばれた栄誉を誇らしげに語った。また、エディンバラでは予想もしないところでユニコーンの紋章が見つかることに関連して、その場所についても興味深い史実を披露している(National Trust for Scotland | The unicorn – Scotland’s national animal)。
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服喪に関する規定は「行きすぎ」?
女王の逝去によって、英国内で内省や議論が起きるのは間違いないだろう。国葬当日は重要なサービスも行われなかったことから、服喪に関する規定を「行きすぎ」と感じた者もいれば、現代社会における王室の意味合いに疑問を持ち、今後も英国民が費用を負担すべきなのかどうか考え始めた者もいる。さらに、チャールズ3世がエリザベス女王ほど愛される国王になれるのかを問う声や、新国王の統治によってスコットランドの独立問題が再燃するのか鎮静化するのかについても懸念の声も上がっている。
しかし、英国民の意見がどれほど割れようが、女王とその象徴性が大いに愛されてきたのは確かだ。多くの英国民にとって、エリザベス女王は単なる統治者ではない。長期にわたる統治の最後まで、常に高潔さを象徴し、国と国民のために奉仕し続けたのである。