自家発電、自己充電の新型エクストレイルで日産はPHEVを超えた

日産X -TRAIL G e-4ORCE

「技術の日産」が帰ってきた。航続距離、つまり電欠を気にしなくていい。充電も気にする必要がない。でも、電気モーターだけで走る。それが、新型「エクストレイルG e-4ORCE」の強みで、EVのあるべきかたちと言って良いだろう。

実は、シリーズハイブリッドのe-POWERという技術が登場してから、6年になる。ここではっきりさせておきたい。日産e-POWERはクルマが独自に電力を作って、充電するシステムだ。だから、新型エクストレイルはいわゆるプラグイン・ハイブリッド(PHEV)ではない。

そして、e-4ORCEというのは、e-POWERの4輪駆動版だ。その6年の間、日本国内でe-POWER搭載のノートなどはバカ売れした。それは、電欠の恐れがないということでユーザーのハートにアピールするところがあった。でも、日本の道路環境にしか合わないということで、この素晴らしい技術を輸出しなかった。今までは! 

しかし、ついに、日産は世界に通用する仕様のe-POWERを作り、アメリカにはエクストレイルの姉妹車のローグを出し、欧州にはカッシュカイe-POWERを導入した。

横から見たXTRAIL

ニューモデルは従来モデルの「タフギア感」に加えて「上質感」を上手に付け足していると思う。外観デザインは、個性たっぷりの大型Vモーショングリルに、上段にポジションランプとターンランプ、下段にLEDのヘッドライトを配置した2階建て構造を採用し、ユニークさと存在感、SUVならではの力強さを主張している。真横から見たシルエットは、プロポーションが良く、ソリッド感のある洗練された雰囲気がある。

室内では、宙に浮かせたブリッジ構造のセンターコンソールは高級感があり、グラフィクスの綺麗な12.3インチのタッチスクリーン、10.8インチの大型ヘッドアップディスプレイなどが装備され、先進性と高級感では、先代とは比較にならない。

キャビンの写真

全体的に質の高い素材は使われているけど、インストゥルメントパネルまわりは多少忙しいかな、と感じた。ナパーレザーもブラックパネルもウッド調トリムがふんだんに採用されているので、採算が合うかちょっと心配。従来モデルより2倍の厚さの吸音材や遮音ガラスの採用で車内が驚くほど静か。これらは新世代プラットフォームだから可能な手当てだという。

ステアリングホイールは下部がフラットになったDシェイプデザインも新鮮。ドライブモードは「オート」「スポーツ」「エコ」「スノー」「オフロード」の全5種類も同車の本格さを象徴している。

さて、エクストレイルはどんなクルマなのか? 4代目にあたる新型の基本プラットフォームには、ルノー・日産・三菱のアライアンスで開発したもので、三菱アウトランダーと同様の車台を採用する。FWDと4WD、通常の5人乗りに加えて、3列シートの7人乗り(4WDのみ)も用意され、ラインナップは幅広いが、パワートレインはすべてエンジン発電した電気によるモーター駆動のe-POWERとなるのが特徴だ。
次ページ > PHEVなのにエンジンに自信がある?

文=ピーター・ライオン

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事