ニュージャージー州で育った韓国系アメリカ人のシャンパインは2011年にWeWorkに入社し、スタートアップインキュベーターであるWeWork Labsを共同創業した。2018年にWeWork Koreaのゼネラルマネージャーに就任した彼は、そこでDongnaeの共同創業者のInsong Kimと出会った。
2人は、アパートへの引っ越しをより手頃で身近なものにすることを目的に、2020年にソウルに拠点を置くDongnaeを立ち上げた。同社の主力商品である「Dongnae FLEX」は、家具付きの短期賃貸物件を低額の保証金で提供するもので、韓国のアパートで一般的に要求される“家賃350カ月分”という法外な前払い金を払えない新卒者や転勤の多い人々にアピールしている。
Dongnaeは、3月に実施したシリーズAラウンドで、リフト(Lyft)やドアダッシュ(Doordash)などを支援するNFXと、エアビーアンドビーを支援するプロップテック(不動産テクノロジー)に特化したVCのMetaPropなどから2100万ドルを調達した。このラウンドには韓国で最も歴史が長い投資ファンドのDaol Investmentと金融大手のHana Financialが参加した。
Dongnaeの累計調達額は、約3400万ドル(約49億円)に達しているが、同社は現在の評価額を開示していない。
韓国人にとってアパートの賃貸は必ずしも容易な選択肢ではない。韓国の賃貸住宅市場には、「チョンセ」と呼ばれる独特な仕組みがあり、借主は毎月の家賃の代わりに「保証金」としてまとまった金額を大家に預け、大家はその資金を運用して利益を上げている。KB国民銀行によると、今年8月のソウル市内の平均的なチョンセの金額は約51万6000ドルで、一部のエリアでは57万2400ドルに達していた。
そのため、韓国では、チョンセのためにローンを組むことが一般的で、国内の上位5つの貸し手のチョンセの債務残高の合計は昨年6月に1064億ドルに達していた。