LP 890-9cまたはSPECULOOS-2cと呼ばれるその惑星は、地球から約100光年離れた星座、エリダヌス座の赤色矮星の近くで見つかった。赤色矮星は私たちの太陽より温度が低く、天文学者の知る限り天の川銀河で最も多く存在する天体であり、全天体の約80%を占めている。
発見者らは、天文学者に知られている居住可能性のある地球型惑星の中で、LP 890-9cは2番目に期待できるターゲットだという。この新たな惑星は、科学者チームが同じ恒星であるLP 890-9/TOI-4306/SPECULOOS-2を周回する別の太陽系外惑星(系外惑星)を最初に発見し、それを再確認していたときに偶然見つかった。この恒星は、惑星を持つ恒星としては有名なTRAPPIST-1(トラピスト1)恒星系に次ぐ2番目に冷たい恒星だ。トラピスト1は最大7つの惑星を持ち「太陽系2.0」とも呼ばれている。
Astronomy & Astrophysicsに掲載された論文によると、研究チームは、NASAの2億8700万ドル(約411億円)のトランジット系外惑星探索衛星(TESS)を使ってこの恒星を回る最初の惑星LP 890-9bを検出し、次にチリとスペイン、テネリフェ島にあるSPECULOOS(スペキュラース)プロジェクトの地上望遠鏡を使って追跡調査した。LP 890-9bは2.7日で恒星を周回し、液体の水を湛えるには熱すぎる。
TESSの検出能力には限界があったため、観測の再確認が必要だったことが幸いした。この装置は惑星(またはその影)が恒星の前を通過した際のわずかな減光を検出する。「地上の望遠鏡による再確認がしばしば必要になるのは、検出された候補が実際に惑星であることを確認し、その場合に詳しく特性を調べるためです。この追跡調査はTOI-4306のように比較的低温の星では特に重要です。それは発せられる光のほとんどが近赤外線で、TESSはその帯域の感度が限られているからです」とリエージュ大学のベルギー国立科学研究基金博士研究員で本研究の主著者であるラティシャ・デルレツはいう。
LP 890-9系と内太陽系の比較。LP 890-9系の方がずっと小さい。2つの惑星は、太陽系で最も内側にある惑星である水星の軌道内に優に収まる(クレジット:Adeline Deward[リエージュ大学])