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2022.09.16 14:30

ボタン電池の事故から子どもたちを守る米国の新法


論文では、2010~2019年の間に起きた電池誤飲事故を調査した。その期間に米国内で、7000件以上の電池誤飲による救急外来受診があった。これは1990~2009年と比べて2倍以上に大きい数値だ。おそらく、家庭電化製品や子どものおもちゃに使用されるボタン電池の数が増えたことが主な原因だろう。

2012年、米国小児科学会と米国気管食道科学会は、電池の安全対策を強化し電池に関わる事故を最小限にするための教育と法制化の推進を目的として、全国ボタン電池タスクフォースを設立した。その結果、現在製造されているボタン電池には子どもに安全なパッケージが、ボタン電池を使用する商品には電池ボックスのロックが必要になった。さらに2017年、 米国消費者製品安全委員会(CPSC)は、14歳以下の子ども向けの電池を内蔵する玩具には、電池誤飲の危険性について説明した明確な警告ラベルおよび説明を含めることを義務づけた。電池メーカーのDuracell (デュラセル)は、幼児の誤飲事故を防ぐために、ボタン電池用の無毒で苦味のあるコーティングを開発した。この努力に効果があったかどうかはまだ確認されていない。自動車用不凍液にも誤飲を防ぐために似たような苦味を加えたが、負傷事象減少の効果は見られていない。

生後1歳8カ月の幼児だったリース・ハムスミスは、2020年にテキサス州の自宅でボタン電池を誤飲した後、重大な内蔵損傷に苦しんだ結果悲惨な死を遂げた。彼女の事故の記事や同様の数多い恐ろしい事象がきっかけとなって、2022年8月、超党派の支持を受けて「リース法(Reese’s Law)」が成立した。同法にはいくつかの構成要素があり、子どもに安全なパッケージや詳しい警告ラベルなどが規定されている。たとえば、CPSCはボタン電池を、一部の商品、特に子どもが使用する商品とは分けて販売することを要求している。また、ボタン電池が製品内に子どもに安全な状態で固定されていること、警告ラベルはボタン電池の危険性について、電池が切れて製品から取り外された後でも危険であることを明確に記載していることが求められている。いわゆる「切れた」電池であっても、しばしば電荷が残っているので、飲み込むと損傷を与えることがある。加えて、医師の診察を受ける事に関する指示は、製品のパッケージに明確に書かれていなければならない。

リチウム電池、ボタン電池の利用が増えるとともに、子どもに害を与えるリスクも増加している。教育関係者、立法者両方の努力がこうした事故の減少に役立つだろう。一連の取り組みによって実際に子どもたちを緊急治療室や手術室や集中治療室、あるいはもっと良くないところへ送らずにすむかどうかは時間が経てばわかるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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