オンラインマーケットプレイスのEtsy(エッツィー)でハンドメイドの人形を販売する「BOKUNO」のオーナーであり、同プラットフォームの今年のデザインアワードでファイナリストの1人に入ったミナコ・スズキ・ロウは、「異なる民族、文化を表す人形は、子どもたちの意識を高め、アクセプタンス(あるがままを受け入れる気持ち)を育てます」と説明する。
彼女のコレクションの中核をなすのは、多様性と包括性、そして平等だ。Etsyで販売している商品は遊ぶことの力と、子どもたちが自らを取り巻く世界やおもちゃの中にいる自分を見ることの必要性について、重要な問題を提起している。
「偏っている」人形たち
自分の子どもや家族を表すような服や本、おもちゃが販売されていないことに気づき、何か行動を起こそうとするのは多くの場合、小さな子を持つ親たちだ。
シャロン・マクビーンは2017年、自分の娘に似た人形がないことに気付き、「ニア・バレリーナ」と名付けたブランドを立ち上げた。起業のきっかけについて、マクビーンは次のように説明している。
「私の母が娘のためにオルゴールを買ってくれたのですが、そこに付いていたバレリーナの人形は、娘には似ていませんでした」
娘に似た黒人のバレリーナが描かれた、または娘のような見た目の人形が付いたオルゴールを買い与えようと、彼女は1年半ほどかけ、世界中の店を探した。だが、見つけることはできなかったという。
ライターでジャーナリストのレベッカ・アトキンソンは、障害を持つ子どもの人形がないことに気づき、2015年に#ToyLikeMeを設立した。補聴器をつけて育った彼女は、おもちゃ箱の中に自分のような姿の人形を見つけられない子の気持ちや、それが子どもの自己肯定感にどのような影響を与えるか、よく分かるという。