ビジネス

2022.09.08 18:00

3年で「500社」に営業 ユーグレナ急成長を支えたマインドセット #2

露原直人

ユーグレナ 出雲充

バングラデシュで目の当たりにした栄養問題に苦しむ子どもたちを救うことを決意し、2005年にユーグレナを立ち上げた出雲充(いずもみつる)社長。世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養を成功させた同社は2012年に上場を果たした。ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品や化粧品、バイオ燃料への活用などに事業の幅を急拡大させている同社の出雲氏が考える、起業家の素養、事業立ち上げの秘訣とは。DIMENSIONビジネスプロデューサーの下平将人が聞いた(全3話中2話)

第一話:ユーグレナ出雲充が語る、起業家に求められる「H・E・R・O」とは #1


「あなたは何回挑戦しましたか?」


──新規事業を作るうえで大切にされていることは。

よく起業家から「何社回っても資金調達できない、日本はダメだ」と相談を受けたりするのですが、私はそんな方には必ずお聞きします。「何社回ったんですか?」と。

すると大体の方は「たくさん」と答えるのですが、実際にリストアップしていってみると5社とか10社であることばかり。100社も回っているような人はまずいません。これは資金調達だけでなく営業などでも同じです。

私の場合はユーグレナをやると決めてから、約3年で「500社」営業しました。そして全て断られました。

「ミドリムシ(ユーグレナの和名)という名前が虫みたいで気持ち悪い」「実績がない」

いつもこの2つの理由で断られ続けました。

資金調達も同じで、私は日本中の「全て」のベンチャーキャピタル(VC)に電話しました。VC年鑑に載っている全ての会社に本当に連絡したのです。そして毎回「絶対無理」と言われ続けました。

私の場合は最終的に「501社目」で伊藤忠商事さんにOKをいただき、事業化の道を切り開くことができました。そんな私からすると、5~10社しか回っていないのに「たくさん」なんてありえない。

特別なご縁、質に転化するのは「挑戦量」のみです。特別な才能や知識ではなく、トライした回数が自ずと質に転化し、結果につながるのだと思います。

──それほどの挑戦と失敗を続けるなかで、第一話でおっしゃった「H・E・R・O」が大切になってくるのですね。

そうです。要は「R:Regilient」しつこく挑戦し、情熱を伝え続ければ必ず成功すると言っているわけですが、そのためにはまずは「E:Efficacy」自己効力感と、「O:Optimistic」楽天的であることが重要です。

ただ、いくら「E:Efficacy」と「O:Optimistic」を兼ね備えていても、500回も失敗し続けるとさすがに挫けそうになりますよね(笑)。その時に支えになるのが「H:Hope」目標や夢です。

私の場合「バングラデシュにユーグレナの給食を持っていけば、子どもたちが絶対に喜んでくれる」という「H:Hope」。これだけは、どんな人でも賛同してくれました。

つまり目指すべき目標は合っていて、間違っているのは私の説明方法や経営手法の部分。そう考えられたからこそ、500回失敗しても挫けずに挑戦し続け、最後は成功をつかみとることができたのです。

繰り返しになりますが、「挑戦量」のみが質、結果につながります。
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文=下平将人 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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