転機は必ず来る、そして予測は出来ない
──創業期の仲間集めについてお伺いしたいと思います。とはいえ、先ほどの話とほぼ重なる部分がありそうですが(笑)
仲間集めに苦労している起業家ってたくさんいますよね。で、私は聞きます。「あなたは何人に声をかけたんですか?」と。
──やはり(笑)。
私の場合は「ユーグレナでバングラデシュの子どもたちを救おう」と本当に毎日、覚えきれないほどたくさんの人に言い続け、断られ続けていました。
でも我々より昔の起業家たちは、もっと大変だったはずです。SNSやテクノロジーによって人と会うのは昔に比べたら随分と楽になっていますから。逆に言うと、だから皆さんあんまり量をこなす努力ができないのかもしれません。
仲間づくり、事業立ち上げ、資金調達。言い古された表現ですが「成功するまで繰り返し努力したら必ずうまくいく」のだと思うのです。
転機はすべての人、組織、事業に必ずあります。あるところで急激に成長し、ピークアウトするS字カーブを描く。これはユーグレナでも同じ。生き物の本質なのです。
そしてもう一つの本質は、その転機がいつ来るのかは誰にもわからないということ。起業もすぐに成果が出るケースもあれば、5年10年しつこくやり続けて突如ブレイクするケースもありますよね。
それなのに皆さん理屈で理解し再現しようとするわけですが、そのような再現性のある事象に価値はほとんどありません。模倣できるため、成功した途端に世界中の人に真似されて価値が低下するからです。
ユーグレナの場合、伊藤忠商事が出資を決めてくれたのが事業の転機だったことは間違いありません。でも「じゃあ最初から伊藤忠に行けばよかったのか」と言われれば、絶対にありません。
必ずタイミングは来ます。そしてそれがいつなのかは誰にもわかりません。なのでその時が来るまで挑戦し続ける。これが人も、組織も、事業も共通する成長法則なのだと思います。