第一話:ユーグレナ出雲充が語る、起業家に求められる「H・E・R・O」とは #1
「あなたは何回挑戦しましたか?」
──新規事業を作るうえで大切にされていることは。
よく起業家から「何社回っても資金調達できない、日本はダメだ」と相談を受けたりするのですが、私はそんな方には必ずお聞きします。「何社回ったんですか?」と。
すると大体の方は「たくさん」と答えるのですが、実際にリストアップしていってみると5社とか10社であることばかり。100社も回っているような人はまずいません。これは資金調達だけでなく営業などでも同じです。
私の場合はユーグレナをやると決めてから、約3年で「500社」営業しました。そして全て断られました。
「ミドリムシ(ユーグレナの和名)という名前が虫みたいで気持ち悪い」「実績がない」
いつもこの2つの理由で断られ続けました。
資金調達も同じで、私は日本中の「全て」のベンチャーキャピタル(VC)に電話しました。VC年鑑に載っている全ての会社に本当に連絡したのです。そして毎回「絶対無理」と言われ続けました。
私の場合は最終的に「501社目」で伊藤忠商事さんにOKをいただき、事業化の道を切り開くことができました。そんな私からすると、5~10社しか回っていないのに「たくさん」なんてありえない。
特別なご縁、質に転化するのは「挑戦量」のみです。特別な才能や知識ではなく、トライした回数が自ずと質に転化し、結果につながるのだと思います。
──それほどの挑戦と失敗を続けるなかで、第一話でおっしゃった「H・E・R・O」が大切になってくるのですね。
そうです。要は「R:Regilient」しつこく挑戦し、情熱を伝え続ければ必ず成功すると言っているわけですが、そのためにはまずは「E:Efficacy」自己効力感と、「O:Optimistic」楽天的であることが重要です。
ただ、いくら「E:Efficacy」と「O:Optimistic」を兼ね備えていても、500回も失敗し続けるとさすがに挫けそうになりますよね(笑)。その時に支えになるのが「H:Hope」目標や夢です。
私の場合「バングラデシュにユーグレナの給食を持っていけば、子どもたちが絶対に喜んでくれる」という「H:Hope」。これだけは、どんな人でも賛同してくれました。
つまり目指すべき目標は合っていて、間違っているのは私の説明方法や経営手法の部分。そう考えられたからこそ、500回失敗しても挫けずに挑戦し続け、最後は成功をつかみとることができたのです。
繰り返しになりますが、「挑戦量」のみが質、結果につながります。