米フォーブスが選ぶ世界の「ブロックチェーン50社」2022年版

THE BLOCKCHAIN 50


BNY MELLON BNYメロン
本社:ニューヨーク
ブロックチェーン・プラットフォーム:ビットコイン、イーサリアム

238年の歴史をもつ老舗銀行が、暗号通貨ETFのバックオフィスサービサーで王者を目指す。同社はすでにカナダで90%の市場シェアをもち、17の暗号通貨ETFのほぼすべてに税務と管理サービスを提供している。同行の顧客は、230億ドル規模の機関投資家向けビットコイン投資ファンドであるGrayscaleや、評価額80億ドルをつけるニューヨークベースの暗号通貨管理サービスのFireblocksなど。

BOEING ボーイング
本社:米イリノイ州シカゴ
ブロックチェーン・プラットフォーム:ゴーダイレクト、ハイパーレジャーファブリック、ハイパーレジャーインディ

部品情報を追跡し、航空機のメンテナンスを管理・記録するためのデジタル飛行記録システムを構築中。同社が以前から主導している、ブロックチェーンにより安全が担保された航空部品の売買プラットフォームGoDirect Tradeの構想を発展させたもので、サプライチェーン全体をつなぐグローバルな部品・耐空性記録プラットフォームにより、業界全体でメンテナンスコストの25%(年間数十億ドル)の削減を見込む。

CHINA CONSTRUCTION BANK 中国建設銀行
本社:北京
ブロックチェーン・プラットフォーム:Tianshu BaaS、CCBチェーン、BCトレード2.0

4.7兆ドルの資産をもつ世界第2位の銀行。これまでにサプライチェーン・ファイナンスからクロスボーダー決済まで、プライベートブロックチェーン上で1410億ドル相当の取引を処理してきた。同社の最新サービスEasyPayは、企業の大規模取引をペーパーレス化し、エラーと監査コストを削減。たとえば広西チワン族自治区の企業がマレーシアのラブアン島からパーム油を購入する際の決済時間は2日間から10分に。

CME GROUP CMEグループ
本社:米イリノイ州シカゴ
ブロックチェーン・プラットフォーム:ビットコイン、イーサリアム

シカゴマーカンタイル取引所(CME)をはじめとした4つのデリバティブ取引所を傘下にもつ取引所運営会社。21年10月、CMEの暗号先物のドル価値が47億ドルに達し、同取引所は一時的に世界最大の暗号デリバティブ取引所となった。CMEはイーサリアムの暗号先物取引にも乗り出しているほか、15万ドル以下の投資を希望する層に向けた「マイクロ」ビットコインおよび「マイクロ」イーサリアム先物商品もローンチ。

JPMORGAN CHASE JPモルガン・チェース
本社:米ニューヨーク
ブロックチェーン・プラットフォーム:コンセンシス・クオーラム

JPモルガンのOnyx Digital Assetsネットワークは、大手金融機関の安定した収益源であり、額面で1日1兆5000億ドルを扱う「レポ市場」を革命しつつある。スマートコントラクトと米ドルをデジタル化したJPMコインを使うことで、Onyxのレポ取引ではオーバーナイトではなくリアルタイムでの決済が可能に。現在、1日10億ドルもの取引を処理している。21年6月にはゴールドマン・サックスもOnyxの利用を開始。

DIGITAL CURRENCY GROUP デジタルカレンシーグループ
本社:米コネチカット州スタンフォード
ブロックチェーン・プラットフォーム:ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、その他

この暗号コングロマリットの傘下には、取引プラットフォームのGenesis、ニュースサイトのCoindesk、デジタル資産取引所とウォレットのLuno、ビットコインマイニングのFoundry、そして世界最大のデジタル資産管理会社で150以上の企業と396億ドルをマネージするGrayscaleという5つのクリプト企業が連なる。DCGは21年11月にソフトバンク主導で7億ドルの第三者割当増資を行い、評価額は100億ドルに。

COINBASE コインベース
本社:米カリフォルニア州サンフランシスコ
ブロックチェーン・プラットフォーム:ビットコイン、イーサリアム、そのほか数十種類

21年4月に上場した米国最大の暗号取引所。同社は21年第3四半期だけで、20年全体を上回る収益(13億ドル)と純利益(4億600万ドル)を記録。顧客数は年初9カ月で4300万人から7300万人に膨れ上がった。21年10月にはNFTマーケットプレイスを発表。CEOのブライアン・アームストロングは投資家に対し、コインベースNFTは同社の取引事業と「同等かそれ以上の規模」になる可能性があると語っている。

DE BEERS デビアス
本社:イギリス・ロンドン
ブロックチェーン・プラットフォーム:トレーサー、イーサリアム

年間売上高51億ドルのダイヤモンド界の王者が、現在までに同社独自のトレーサー(Tracr)ブロックチェーンに紐づけたダイヤは40万個以上(約20億ドル相当)。ダイヤはカット、カラー、クラリティ、カラット、採掘場所から研磨までサプライチェーンに沿って追跡されており、顧客は商品の詳細と真正性を簡単なスキャン操作で即座に確認できる。トレーサーは現在、30以上のダイヤモンド業界企業が導入。

DEPOSITORY TRUST & CLEARING CORPORATION デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション
本社:米ニュージャージー州ジャージーシティ
ブロックチェーン・プラットフォーム:ION、DSM、ハイパーレジャーファブリック

もし昨年、米国で証券を売買したなら、その清算・決済は同社(DTCC)が行った確率が高い。DTCCは年間取引額2兆ドルを誇る、世界最大のポストトレード企業。同社は21年9月、決済時間を2日から1日未満に短縮するブロックチェーンプロジェクトのテストに6カ月をかけて成功したことを発表。メインとしているのは依然として上場証券だが、新たに開発したデジタル証券管理アプリはIPO前の企業がターゲットだ。

FIDELITY フィデリティ
本社:米マサチューセッツ州ボストン
ブロックチェーン・プラットフォーム:ビットコイン

暗号通貨に手を出した最初の大手金融のひとつで、ビットコインが500ドル以下で取引されていた15年にマイニングを開始。しかし米国個人年金の巨人である同社はその保守的な性質に忠実に、顧客が暗号通貨を直接所有しない方向に舵を切った。現在、同社の暗号通貨サービスは、機関投資家向けのカストディとリサーチの提供だ。これらの大口顧客の数は21年には約200社に倍増している。
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編集=マイケル・デル・カスティージョ / マット・シフリン 調査=マリア・アブルー、ニナ・バンビシェバ、ジャスティン・バーンバウム、ローレン・デター、マイケル・デル・カスティージョ、スティーブン・エルリック、クリス・ヘルマン、ケイティ・ジェニングズ、ジェフ・カウフリン、ハビエル・パズ、ジョン・ポンチアーノ、マリー・シュルト・ボックム イラストレーション=ルイーズ・ポメロイ

この記事は 「Forbes JAPAN No.095 2022年月7号(2022/5/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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