テクノロジー

2022.09.22 16:00

米フォーブスが選ぶ世界の「ブロックチェーン50社」2022年版


FUJITSU 富士通
本社:日本・東京
ブロックチェーン・プラットフォーム:ハイパーレジャーファブリック、ベイス、カクタス、イーサリアム

ベルギー・ブリュッセルの富士通ブロックチェーンイノベーションセンターにて、同社のブロックチェーン技術を使い、40社以上のクライアントと新たなアイデアを検証中。浄水会社のBotanical Water Tech-nologiesとは、世界初の「水」追跡プラットフォームを構築。水が浄化され、販売、配送される過程を追跡することで、コーラメーカーや蒸留所の製造工程において通常廃棄される水を販売・再利用できる。

LINE CORPORATION ライン
本社:日本・東京
ブロックチェーン・プラットフォーム:ライン

社名と同じく「LINE」と呼ばれる独自のブロックチェーンを基盤に、暗号通貨取引所、NFTマーケットプレイス、25万4000アカウントを擁するデジタルウォレットなどを提供。同社の暗号通貨LINKは100万人以上のマイナーを集める大ヒットとなった。ブロックチェーンサービス開発プラットフォームLINE Blockchain Developersでは、NFTアイテムなどのトークン発行といったサービス構築が簡単に行える。

MASTERCARD マスターカード
本社:米ニューヨーク州パーチェス
ブロックチェーン・プラットフォーム:テラ、ルートストック、モネロ、ビットコインキャッシュ、ライトコインなど

GeminiやUpholdなど24の暗号通貨カードが同社によって発売され、顧客は世界8000万ベンダーでデジタル資産を使えるようになった。また米インターコンチネンタル取引所(NY証券取引所の所有者)の子会社Bakktと提携し、さらに多くのMastercard発行会社が暗号通貨取引に対応できるよう技術を提供する予定だ。同社のブロックチェーンインキュベータはこれまで12の暗号スタートアップを支援。

META メタ
本社:米カリフォルニア州メンロパーク
ブロックチェーン・プラットフォーム:不明

FacebookがMetaとしてリブランドし、「メタバース」に全面的に乗り出すというザッカーバーグの決定は、ブロックチェーン業界だけでなく29億人のグローバルコミュニティをもつFacebookにとっても恩恵となりうる。結局、没入型の「仮想世界」は、暗号通貨、NFT、ブロックチェーンゲーム、デジタルウォレットなどにとって自然な環境だからだ。現時点では同社のメタバースの基盤となる技術は公にされていない。

INDUSTRIAL AND COMMERCIAL BANK OF CHINA 中国工商銀行
本社:中国・北京
ブロックチェーン・プラットフォーム:エンペラーシールチェーン

この資産5.6兆ドルを保有する世界最大の銀行が、自社開発の40のブロックチェーンアプリを介して行った取引は21年で480億ドル以上。同社のアプリIcagoは、電車、バス、電気自動車などエネルギー効率のよい乗り物を利用することでユーザーに報酬を与えるもので、獲得した炭素クレジットは中国の新しい中央銀行デジタル通貨に交換可能。将来的には、炭素排出権を証券化し、企業向けに債券として販売予定。

MARATHON DIGITAL HOLDINGS マラソン・デジタル・ホールディングス
本社:米ネバダ州ラスベガス
ブロックチェーン・プラットフォーム:ビットコイン

Apple、Amazonら巨大企業への多数の訴訟を起こしパテントトロールとして知られていた同社だが、17年にビットコインの採掘にピボット。17年の年間売上は100万ドル以下、時価総額は1000万ドル以下だったが、中国でのビットコイン採掘禁止の恩恵を受け、現在ナスダックで取引される同社の時価総額は20億ドルに上る。今年さらに7万台のサーバーを稼働させ、世界のマイニングの約1.2%を担うと試算されている。

KAKAO CORPORATION カカオ
本社:韓国・済州市
ブロックチェーン・プラットフォーム:クレイトン

韓国人口5200万人のうち90%が使うメッセージアプリの王者。独自ブロックチェーン「クレイトン(Klaytn)」を基盤に、カカオトーク上からNFTが買えるNFTマーケットプレイスKlip Dropsや、誰もが簡単にNFTを作成・管理できるNFT造幣サービスKrafterSpaceをローンチ。また、21年8月には5億ドル超のKlaytn Growth Fundを立ち上げ、同社のブロックチェーンのエコシステムに貢献する開発者を支援。

MICROSTRATEGY マイクロストラテジー
本社:バージニア州タイソンズ
ブロックチェーン・プラットフォーム:ビットコイン

企業向けソフトウェア大手のマイクロストラテジーはここ2年で突如、上場企業としては米最大のビットコイン所有者に躍り出た。初手は20年8月。2.5億ドルで2万1454BTCの購入を発表し、これを皮切りとして現在までに124391BTC(43億ドル相当)を保有する。同社がこれまで暗号取引で計上した利益は約8億4600万ドルに上る。CEOマイケル・セイラーは個人としても17732BTC(6億ドル相当)を所有。

NCR エヌ・シー・アール
本社:米ジョージア州アトランタ
ブロックチェーン・プラットフォーム:ビットコイン

141年の歴史をもつATMメーカーが、世界150万カ所の暗号通貨ATMを結ぶグローバルネットワークを構想している。21年1月、米国内に3万台のビットコインATMを保有するLibertyXを買収。次いで25億ドルを投じ、米国ほか9カ国のサークルK、CVSなどに28万台のATMをもつCardtronicsを買収。ビットコイン、イーサリアム、そのほかいくつかの暗号通貨は、今年中にこれらのATMで利用できる見込み。

ORACLE オラクル
本社:米テキサス州オースティン
ブロックチェーン・プラットフォーム:ハイパーレジャーファブリック

電気自動車の電池に使われるコバルトの需要は急増しているが、世界のコバルト供給の3分の2近くは、児童労働などの人権侵害が横行するコンゴ民主共和国で採掘されている。オラクルと原材料のサプライチェーン追跡を行う英国のスタートアップCirculorは、コバルトなどの紛争地域からの原材料を追跡するブロックチェーンプラットフォームを構築。ボルボをはじめ世界のEVメーカーの多くが契約を結んでいる。

PING AN GROUP 中国平安保険グループ
本社:中国・シンセン
ブロックチェーン・プラットフォーム:FiMAX

中国の保険最大手である同社は20年1月以降、子会社OneConnectのブロックチェーン融資プラットフォームを通じて、中国広東省の100万社の中小企業に対して120億ドル以上の融資を実施した。同プラットフォームは、政府のデータを使って借り手のリスクプロファイルを分析し、銀行の取引処理を最短10分に短縮。中国工商銀行を含む、788の顧客金融機関が大幅なコスト削減を実現している。
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編集=マイケル・デル・カスティージョ / マット・シフリン 調査=マリア・アブルー、ニナ・バンビシェバ、ジャスティン・バーンバウム、ローレン・デター、マイケル・デル・カスティージョ、スティーブン・エルリック、クリス・ヘルマン、ケイティ・ジェニングズ、ジェフ・カウフリン、ハビエル・パズ、ジョン・ポンチアーノ、マリー・シュルト・ボックム イラストレーション=ルイーズ・ポメロイ

この記事は 「Forbes JAPAN No.095 2022年月7号(2022/5/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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