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2022.09.07

「飲めない人」も楽しめる渋谷へ スマドリと渋谷未来デザインが連携


これまでお酒を「飲む人」向けの商品開発を続けてきたアサヒビールですが、飲酒に関してそこまでの切実な問題があることに気づき、「飲み会もより自由になっていいのではないか」と考えるようになりました。

こうした国内外のトレンドの影響もあり、CSRにとどまらず商品やサービスに落とし込んでいこうと、スマートドリンキング宣言をしたのです。

アサヒビールではその後、2021年にアルコール度数0.5%程度の低アルコール飲料である“微アル”というカテゴリーをつくろうと「アサヒ ビアリー」を発売。「スマートドリンキング」をさらに推進するために、スマドリを設立しました。

飲酒にまつわるトラブルの多いまち「渋谷」


──スマドリと渋谷未来デザインが手を組んだのは、なぜでしょうか。

長田:渋谷区では、ハロウィンやプライドパレードをはじめとした大規模イベントが多数開催されます。そうしたときに飲酒が原因で騒ぎが起きることもしばしば。我々は商店街から、こうした騒ぎが「街のイメージダウンにつながる」という声や、「飲酒にまつわる様々なトラブルで悩んでいる」という声をよく聞いていました。

渋谷未来デザインは、誰もが「訪れたい」「住みたい」「働きたい」と思える、魅力ある街づくりを目指しているため、不適切な飲酒は解決すべき課題です。ただ、渋谷の街を訪れる方々にナイトタイムを楽しく過ごしていただきたいので、「お酒を排除する」という考えはなく、節度のある適度な飲酒を実現するための方法を模索してました。

そんなタイミングで、スマートドリンキング宣言をされたアサヒビールさんの活動を知り、「連携して新しいカルチャーをつくっていこう」と意気投合したことで、「渋谷スマートドリンキングプロジェクト」がスタートしました。



元田:まずは2021年に渋谷区が毎年開催しているソーシャルデザインをテーマにしたイベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA (SIW)」で、お酒を飲めない&飲まないクリエイターやアーティストを集め、「飲める人も飲めない人も飲まない人も、ともに楽しい時間や空間を過ごせる社会を実現するにはどうすればよいか」をテーマにアイデセッションを開催しました。

その際、「飲まない人や飲めない人の選択肢は、ウーロン茶かコーラかジンジャエールしかない」という悩みが寄せられたことをきっかけに、「スマドリバー」の構想が生まれました。アサヒビールでは以前から、ノンアル・ローアルを体験できる場をつくりたいという思いもあったので、良い機会でした。

そして、6月末にスマドリバーをオープン。ローアルやノンアルのドリンクも100種類以上そろえ、多くの選択肢があることを知ってもらい、体験してもらえる場所になっています。


アルコールを飲まない人も満足できるよう、お酒のアテだけでなく食べごたえのある料理も用意している

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文=小谷紘友 取材・編集=田中友梨 撮影=小田光二

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