ビジネス

2022.08.31 17:00

ロシア発のゲーム会社が直面した戦時中のビジネスの本当の難しさ


ロシアではいまや、今回の侵攻を戦争と呼んだだけでも犯罪とみなし、ウクライナに「物質的支援」を提供すれば反逆罪に問うとロシア国民を脅している。当初は従業員にウクライナ側への寄付を思いとどまらせたりしていたプレイリックスだが、3月11日にはウクライナ赤十字に50万ドルを寄付すると発表した。Slackのマス・チャンネルがひとつ再開され、投稿ルールも緩和された。

事態はいまも完璧には程遠い。ロシアに根を張って生活する古くからの従業員はまだ数多く残っており、ブフマンは、今後、会社を去る者が増えるとみている。マネジャーたちは、ウクライナ人従業員が、ブフマンを含みロシア語を話す幹部・同僚と極力接しなくて済む方法を検討中だ。これまで通りの働き方を続けることはできないだろう。

「それでも、ウクライナでの業務は続けていくことができると考えています」(ブフマン)


イゴーリ・ブフマン◎プレイリックスの共同創業者。ロシアの地方都市ヴォログダのユダヤ人家庭で生まれ育った。地元の大学で応用数学を修め、在学中からプログラミングを始め、ゲームなどを作成。これがプレイリックス創業につながった。2014年にアイルランドのダブリンに移住し、16年にはイスラエルの市民権を取得した。現在は英国ロンドン在住。

Playrix プレイリックス◎
2004年、ブフマン兄弟が設立したゲーム会社。フィッシュダム、タウンシップ、ガーデンスケイプなどで知られる。PCゲーム中心からソーシャルメディア向けのゲームに転換、さらにモバイル向けの無料ゲームアプリへと軸足を移していった。ロシアで創業後、いくつかのゲーム開発業者の買収を経て、本社をアイルランドのダブリンに移した。欧州トップ、世界第4位のモバイルゲーム企業。

文=イアン・マーティン & ジェーミナ・マケボイ 写真=レボン・ビス 翻訳=フォーブス ジャパン編集部 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN No.095 2022年月7号(2022/5/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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