ビジネス

2022.08.30 08:00

TikTokだけじゃない中国バイトダンスの恐るべき事業拡大の野望

Photo by Emmanuel Wong/Getty Images


ヘルスケア分野


バイトダンスは、Amcare病院チェーンを買収するかなり前から医療への進出を始めていた。同社は、2020年にオンライン医療百科事典「Baikemy」を買収し、医療情報の検索や遠隔医療相談の予約に使用できるツールの「Xiaohe」を立ち上げた。
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米国の元防諜責任者のエバニナは、バイトダンスの動きが、中国政府が2030年までに中国を人工知能(AI)とヘルスケア分野のグローバリーダーにすると述べたことを受けてのものだと述べている。

ユーラシアグループでテクノロジー地政学を担当するシャオメン・ルーも、バイトダンスがすでに取得したユーザーデータを詳細な医療情報で補完することで、同社のデータが「より包括的で洗練されたものになる」と述べている。

VR分野


バイトダンスが、VR(バーチャルリアリティ)に注力を開始したのは、2021年に世界最大級のVRヘッドセットメーカーの「Pico」を非公開の金額で買収したときだ。その翌年の2022年3月に、Douyinのユーザーは、アプリを開くたびにPicoのヘッドセットの広告を目にするようになった。
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2022年6月、Picoはヨーロッパ市場で新たなヘッドセットを発売し、7月には米国でもヘッドセットを発売する予定であることが明らかになった。

バイトダンスは先日、中国のVRスタートアップである「PoliQ」を買収したが、同社は以前、アバターの制作用のプラットフォームを開発していた。また、中国ではアバターベースのハングアウトアプリ「Party Island」や、東南アジアではアバター作成アプリ「Pixsoul」などのテストを行っている。

SNSと動画アプリ


バイトダンスは、他にもソーシャルアプリを展開しており、当初はToutiao Videoと呼ばれていたビデオ共有アプリの「Xigua Video」は、2020年にBBCスタジオやディスカバリーと提携するなど、ユーザーが生成した動画だけでなく、他社スタジオのコンテンツも配信している。

同社は、フェイスブックやインスタグラムに似たテキストや写真ベースのSNSにも取り組み、2018年に立ち上げた「Helo」は、インドで人気となった。しかし、インド政府はHeloやTikTokを含む中国ベースのアプリを禁止し、この試みは苦境に立たされた。

同社はまた、音楽ストリーミングサービスの「Resso」や動画エディターの「CapCut」も開発している。さらに、若者向けのソーシャルメディアアプリ「Kesong」の立ち上げを準備していると報じられており、インスタグラムに似た中国のプラットフォームのXiaohongshu(小紅書)に対抗することが期待されている。
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編集=上田裕資

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