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2022.09.06 08:30

17カ国でバズる理由 予想を絶えず更新する「マッピング思考」とは

『マッピング思考 人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」』(ジュリア・ガレフ著、児島修訳、東洋経済新報社、2022年8月刊)


以来、気候変動懐疑論者がデータを引用したときは、出典元の信頼性を確認するようになった。そのたびに、データのずさんさに落胆することになった。
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頻繁に考えを変えるのは、特にそれが重要な信念である場合、精神的にも感情的にも負担が大きいように思えるだろう。

しかし、ある意味で、それは考えを変えないよりもストレスが少ないのだ。

白か黒かの二元論で世界をとらえているとき、みずからの信念に反する証拠に遭遇したらどうなるだろうか? それは大きな賭けになる。もしその正しさを認めれば、自分の信念全体が危険にさらされる。だから、なんとしても証拠を否定しなければならないと考えてしまう。
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だが、世界を白黒で区別しないグレーな場所だととらえ、「考えを変える」のは少しずつ変化してくことだと考えれば、信念に反する証拠に遭遇したときの反応は大きく異なってくる。

たとえば、「移民は経済によい効果をもたらす」という考えの正しさに対して80%の確信度を抱いているとき、「移民は全体的な賃金レベルを下げる」という研究結果を目にしたら、その確信度を少し下げて70%に調整できる。

その後でこの研究の方法論に欠陥があることが判明したり、「移民は経済を活性化させる」という別の証拠が出てきたりしたら、確信度は80%以上に上がるかもしれない。

さらにその後で、移民受け入れのデメリットを示す証拠を目にしたら、確信度は70%以下に下がるかもしれない。

いずれにしても、このように少しずつ調整していけば、自分の信念が根底からひっくり返されるほどの危機は感じにくい。


『マッピング思考 人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」』(ジュリア・ガレフ著、児島修訳、東洋経済新報社、2022年8月刊)

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