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2022.08.27

ファッション業界のビジネスモデルを変える? リセールのThredUp

T. Schneider / Shutterstock.com

ファッション業界のビジネスモデルは、製品の寿命を意図的に縮めることを含む「計画的陳腐化」に基づいている。ブランドはシーズンごとにまったく新たなコレクションを発表し、ファッショントレンドはほぼ5~7年ごとに大幅に変化する。これらはすべて、消費者の購買意欲を刺激するためのものだ。

ただ、休むことなく新製品を市場に送り出し続けることで、ファッション業界が排出する温室効果ガスの量は、世界全体の約10%を占めるようになっている。大量の水を使いながら、廃水量は世界全体の20%を占めている。エネルギーの使用量は、航空業界と海運業界を合わせた量を超えている。

長年にわたってファッション業界の「陳腐化計画」に慣れ親しんできたことで、世界中の人々と地球は、大きな代償を支払うことになっている。そして一部の消費者たちは、すでにこの悪循環に気づき、それを絶とうとし始めている。

衣料品販売で急成長する「リセール」


衣料品リセールサイトを運営する米スレッドアップ(ThredUp)は、こうした状況のなかで事業を拡大し続けている。ファッションブランドには環境に配慮した新たなビジネスの方法を、消費者には新しい服が欲しいというニーズを満たすための選択肢を提供している。

「Resale-as-a-Service(Raas、サービスとしての再販)」を戦略として掲げる同社にとって、「新しいものは消費者のクローゼットにある古いものだけ」だ。同社はそのサービスを利用する顧客のことを、「スリフターズ(thrifters)」と呼ぶ。

現代的「スリフター」の登場


「スリフト」はもともと、「倹約」の意味だ。だが、スレッドアップにとっての「スリフター」は、過去の倹約家たちとは異なり、節約に関心を持つだけではなく、真に世界を変化させるために自らの購買習慣を変えようとしている。

スレッドアップのアンソニー・マリノ社長はこのスリフターたちについて、「新たな購買習慣から、心理的報酬を得ている」と説明する。それが、現代の「スリフター」としての、彼らのライフスタイルを後押しすることになっているという。
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編集=木内涼子

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