マリノは(スリフターとして買い物をする)スリフティングについて、「スポーツのようなものだ」と語る。
「(オンラインで見つけた)そのダイアン フォン ファステンバーグのラップドレスが139ドル(約1万9000円)ではなく39ドルで売られているのを見つけたとき、スリフターたちには(脳内麻薬とも呼ばれる神経伝達物質のエンドルフィンが分泌される)“エンドルフィンラッシュ”が起きるのです」
「スリフティングは現在、(倹約しなければならないという)不名誉の印ではなく、名誉の象徴となっています」
調査会社グローバルデータが米国の成人3500人を対象に行った調査によると、自らをスリフターと呼ぶ人は、米国の消費者の72%にのぼっている。購入した中古品を誇らしげに他の人に披露できるのは、この割合のためだろう。
スレッドアップは、米国の消費者はすでに半数以上が「スリフター」であり、そうではない人たちも、今後その一人になると見込んでいる。
脅かされる「従来型」
ライフスタイルにスリフティングを取り入れる人が増えるにつれて、ファッションブランドの“従来の”あり方が脅かされている。特に北米市場では2026年まで、古着市場が新品の製品の市場の16倍の速さで成長すると予想されている。
すでにリセールを行っているブランドには、パタゴニア、リーバイス、REI、ルルレモンなどがある。いずれも忠実な顧客を持つブランドだ。その顧客たちがこれらのブランドに期待しているのは、自分たちにも環境にも責任ある態度を取ってくれることだ。
高級ブランドは提供する製品が高額であることについて、「長期にわたって価値が保たれる」ためとして、それを正当化してきた。だが、ミレニアル世代、そしてZ世代という新たな世代の消費者にとって、価値の持続が重要なのは、高級品だけではない。
どのアイテムでも、中古品として売るときの価値を考えた上で購入を検討するという人は、46%にのぼっている。そして、すでにファッション・小売ブランド経営幹部の多くも、顧客が中古品を購入していることを認識し、自社の「リセール戦略」について検討し始めている。
(forbes.com 原文)