Web3のまちづくりで、過疎からの心の解放へ。全国で2番目に小さい三宅町の挑戦

奈良県磯城郡三宅町はグローブの生産で有名だ。森田浩司町長(左)、齋藤潤一


なぜ、三宅町でスタートアップなのか。それは、スタートアップはエッジを効かせてやっていく必要があるからです。東京をはじめとする大都市圏のスタートアップ支援には勝てないので、「ここでしかできない」スタートアップをどうつくっていくかは1つの課題だと思っています。


https://www.town.miyake.lg.jp/assets/大和平野中央プロジェクト協定締結_1.pdfより

──「大和平野中央プロジェクト」ですね。具体的にはどんなスタートアップを支援していきたいですか?

それがいま悩んでいることです。僕自身もスタートアップの経験がないので、どういう業界がいいのだろうということがあって。福岡や仙台など、さまざまな地域がスタートアップを支援していて、全国的にも充実してきていると感じています。

三宅町がそれらの地域との差別化をするには、これから成長する新しい業界のWeb3やDAO、NFTなどのスタートアップを支援していくことが必要だと考えています。初期の段階から新しい世界観をつくれるような企業と、一緒になって成長していけたらすごく嬉しいです。


聞き手・齋藤潤一(写真提供=TURNS)

──奈良県立大学の理工系学部が2026年度までに新設され、大和平野中央プロジェクトの中核施設になるということなので、そういう意味では本当にWeb3やDAOに特化したスタートアップが集まって、新しい街づくりや新しい可能性を見出していくようなことになっていくかもしれませんね。

三宅町は小さい町ですが、僕は新しいものを生んでいくには小さい町のほうがやりやすいと思っています。だからこそ三宅町でやる意味、やる意義も出てきます。これが大都市になるとなかなか動きにくいこともあると思うのですが、「全国で2番目に小さい町」という武器を活かしたスタートアップ支援は、三宅町とはとても相性がいいのかなと感じています。

──実際にWeb3での街づくりを実施したあとに、三宅町の町民や次世代の子どもたちに何を還元していきたいですか?

これもボーダレスがキーワードで、三宅町のこの取り組みが、世界に飛び出していく勇気の第一歩になると考えています。「Web3タウン三宅町」には、国内だけではなく海外からも来る人がいるかもしれない。そういった意味で国籍すらボーダレスになって、もっと三宅町から世界へと飛び出していく子どもたちが増えてくると思っています。
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文=齋藤潤一

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