Web3のまちづくりで、過疎からの心の解放へ。全国で2番目に小さい三宅町の挑戦

奈良県磯城郡三宅町はグローブの生産で有名だ。森田浩司町長(左)、齋藤潤一


──DAOの観点からみれば、中央集権という縛られたルールがなくなり、自分たちのやりたいことができる空間になりますが、ルールで規制する部分と手放す部分のバランスはすごく難しいと思いますが、町長はどのように実行していますか?

住民の交流を生み出すために新しく学童保育や図書、公民館機能を持つ「MiiMo(ミーモ)」という公共施設を建設したのですが、MiiMoの運営を通じて「自分たちのやりたいことができる」ことを目指しています。


三宅町交流まちづくりセンターMiiMo(三宅町Facebookページより)

行政だけで施設のルールを決めてしまうのではなく、運営方法やルールづくりのときには、住民の皆さんや施設に入っている事業者さんにも入っていただいて、対話を重ねてみんなが納得したうえでルールを決めていく。バーチャルでもリアルでも対話は、とても重要だと思っています。

Web3での街づくりのルールにおいては、三宅町のビジョン・ミッション・バリューを根幹にして、そこがズレていないかしっかりと対話していくことが大事ですね。

──バーチャルという言葉だけで完結させるのではなく、リアリティに持っていくことこそがWeb3での街づくりの根幹ですね。人間はすごく社会的動物で、だからこそ両軸を往き来することがWeb3の面白さだし、そこから出てくるのが街づくりの新しいカタチだと思いますね。そういう意味でWeb3での街づくりは面白いです。

可能性としてはすごく面白いものがあると思います。Web3のすごく良いところは、どこでもできることと、自分たちの町の魅力や「武器」となるものは何かをしっかりと考えるきっかけになることだと思います。

すると地方の魅力をより発見しやすくなってくるので、そこのコミュニティやそこの町に参画したい人も出てくる。うまくいくとそれが2カ所、3カ所ともっと参加できるようになってくると思いますね。

大和平野中央プロジェクトの中核として


──ところで、いま奈良県三宅町がスタートアップにすごく力を入れていると聞いたのですが、それはどんな取り組みでしょうか?

奈良県も本気でスタートアップに取り組んでいて、奈良県と三宅町の共同事業で、三宅町の石見(いわみ)駅の駅前に奈良県立大学工学系学部キャンパスが来ることが決まっています。さらに、そこでは「スタートアップビレッジ」というスタートアップの拠点を整備していくことも進めています。
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文=齋藤潤一

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