Web3のまちづくりで、過疎からの心の解放へ。全国で2番目に小さい三宅町の挑戦

奈良県磯城郡三宅町はグローブの生産で有名だ。森田浩司町長(左)、齋藤潤一


──僕はWeb3の概念が、人口が少ない町の街づくりに活かせるのではないかと思っています。まさしくボーダレスになっていくので、場所や人口ではなくコンセプトや概念、哲学などで人が地域に集まってくる。そして、お金ではなくトークンという新たな信頼の通貨でやっていくことが面白いと思っているのですが、森田町長はそれらをどういう風に使っていきたいと思っていますか?

三宅町は過疎地域に指定されているのですが、人口減少が進むなかで住民(人口)の取り合いをするのではなく、「過疎からの心の解放」をしたいと考えています。

それはつまり、やりたいことにチャレンジしている人たちがたくさんいる街であるということです。町の人たちだけではなく、町外の人や企業で「三宅町で何かしたい」「夢を叶えたい」という人を増やしていきたい。

プレイヤーがやりたいことをすることが街づくりとなり、町全体の活力になると思っているので、そのフィールドがリアルでもデジタルでも実現できるように進めていくのは面白いと思います。

たとえデジタルが入口だったとしても、そういう人たちが「三宅町に行ってみよう」「三宅町とリアルで何かしてみよう」となる「デジタル×リアル」融合によって、町の力や活気を生み出すことができるのではないかと考えています。


奈良県磯城郡三宅町 森田浩司町長(写真提供=TURNS)

なぜ「過疎からの心の脱却」なのか


──森田町長が「過疎からの心の脱却」を目指すようになった背景を教えてください。

とにかく競争というものから早く抜けたかったんです。僕は、人口の取り合いをしているだけでは競争しか生まないと思っています。

三宅町に住んでいる人の現実的な意見としては「人口が減ってきたら活力がなくなって町が暗くなる」「税収が減ったらこれからの町の維持はどうなっていくのか」という不安があることを僕たちは聞いています。

「過疎からの心の脱却」は、そういった問題を持続可能なカタチでどうやって解決できるのかを考えたことがきっかけで生まれました。

新たな価値や、新たな元気を生み出すことで本当の意味での過疎からの脱却ができて、みんながハッピーになる。競争から抜けることによってそれはさらに広がっていき、みんながハッピーになる取り組みがもっとできるんじゃないかなと思いましたね。
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文=齋藤潤一

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