4歳から始めたギターを武器に、ボーダレスな活動を続けるReiに音楽への思いを聞いた。
2017年に日本のミュージシャンで初めてTED NYからオファーを受けて行ったパフォーマンスが大きな話題に。昨年は1stアルバム『REI』の英語版が、アメリカのレーベル「Verve Forecast」から全世界配信され、FUJI ROCK FESTIVALやSXSW Festivalといった大型フェスに多数出演するなど、ボーダレスな活動を展開しているRei。
彼女がクラシックギターを始めたのはニューヨークに住んでいた4歳のとき。翌年にはアメリカの学校でビッグバンドに参加したことをきっかけにブルーズと出会い、音楽活動を始めた。
幼少期にフランス、アメリカ、日本とさまざまな場所を転々とした経験から、自身の英語も日本語も中途半端に感じ、やがて話すことにコンプレックスをもつようになったという。
「自分の心と言葉が断線している気分でした。でもギターと音楽に出会って、やっとそれがつながった感覚になった。私にとって、いちばん思い通りに人とコミュニケーションできる“第三の言語”が音楽であり、ブルーズだったんです」
ブルーズには12小節のスリーコードという基本ルールがある。出会ったばかりの人とでも、キーとテンポさえ共有すれば演奏を通じて会話ができる、いわば「数式のようなもの」。ブルーズというジャンルを得たことで、Reiはやっと人と深くつながることができるようになった。
ティーンエイジャーになると、Reiは学校の友達とバンドを組み、さらに詞や曲の制作にも没頭した。わずか数年で300曲あまりを書き上げると同時に、さまざまな場所で客の前に立ち続け、17歳でプロとなった。
そんなReiに「自身をどんなギタリストだと思うか?」と訊くと、「歌心のあるギタリストでいたい」という答えが返ってきた。
「ギターは弦楽器ではありますが、私は詞曲を書き歌ってもいるので、ストーリー性のあるギターを弾きたい。尊敬するギタリストはみんなシグネチャートーン(その人らしい音)をもっている。特にジョニー・ウィンターには大きな影響を受けました。私も一聴しただけでその人のギターだとわかる音づくりを目指しています」