AIで新しい教育をつくる「アタマプラス」代表が学習の効率化を目指す理由

アタマプラス 代表取締役CEO 稲田大輔さん

AIを活用した教育サービス「アタマプラス」を手掛ける稲田大輔さん。学生時代には、お笑いに取り組んでいたほど、人を笑顔にすることが大好きなのだという。

「教育に携わることになる前から、国内総生産=GDPではなく“国内総笑顔=GDS(グロス・ドメスティック・スマイル)”を増やしたいと本気で思っていました。就職活動のエントリーシートに大まじめに書いたほど(笑)。笑顔が生まれるのは、幸せを感じているときですよね。日本は経済大国といわれていますが、一方で自殺者の人数が多い。これは幸せなのかなと疑問に思ったんです」。

この問題意識が稲田さんを突き動かした。20代半ばの商社勤務時代のブラジル留学が転換点だった。

「貧富の差があるなかでも、幸せを感じる人が多いとされるブラジルに5年ほど駐在しました。そこで得たものが今につながっています。日本といちばん違ったのは、子供時代の過ごし方。ブラジルの教育現場を見てみると、生徒たちが自分の意見を自由に発言していて衝撃を受けました。日々の過ごし方のなかで、アウトプットする訓練を積んでいるんです。ここで、教育を変えることが笑顔を増やすポイントだと思いました」。


AIと人をベストミックスさせた教育サービスを先駆ける「アタマプラス」。AIが生徒の理解度などを分析し、一人ひとりに最適化させた「自分専用カリキュラム」を作成。人間がAIに取って代わるのではなく、生身の先生が個人に合わせたコーチングをすることで生徒の学力を伸ばしていく。2022年4月時点で全国の学習塾・予備校の3100教室以上に導入。

人によるコーチングと、AIで個人に最適化した教材とを掛け合わせた効率的な学習サービスを通じて、稲田さんはさらに大きな絵を描く。

「日本の子供は忙しいんです。なので、なるべく従来の“基礎学力”習得の時間を少なくして、“社会でいきる力”である、コミュニケーション力、アウトプット力を培う時間などに充ててほしい。アタマプラスはその一歩として基礎学力を効率的に、短い時間で身に付けることに役立ちます。生徒を子供扱いせず、ひとりの人間として接し、学習の本質的な部分に向き合っていく。これが今の教育に必要だと感じています」。
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写真=山川明男 スタイリング=梶 雄太 ヘアメイク=竹井 温(&'s management) 文=加瀬友重、オオサワ系、髙村将司

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