しかし、クラークソンのお得意なスタイルは、一旦技術の面を思い切り褒めておいて、その直後に同じクルマのデザインを完全に批判する。「ランエボの走りは凄いけど、ルックスはまるで壁にぶつかって破片の部品がそのままくっついてるみたいだ。WRXもGT-Rもそんな変わらないしな」と激辛。
そして、「ほとんどの日本車のデザインは、欧州で創造された延長線ではないか」と指摘した。例えば、1989年に誕生して、当時のドイツの高級車の製造品質、信頼性、静粛性などに影響を与えたレクサスLS400(日本名:セルシオ)は、「メルセデスベンツSクラスのパクリだし、マツダRX-7(FC) はポルシェ944からデザインのヒントを得ているようだ。それに、日産Be-1はMINIに似ているし、世界一売れたオープンカーのマツダ・ロードスターの初代バージョンは、ロータス・エランよりスタイリングの影響を受けていた」と。「日産240Z(フェアレディZ)だって、ジャガーEタイプとアルファロメオ・スパイダーを足して2で割ったようなスタイリングだとしか言えないでしょ」と言う。
LS400
240Z
日産Be-1
この番組を見て、僕自身は、「今は違うぞ!」と思う。確かに20年前は、彼がいう技術vsデザインの差はあったけどね。アメリカには、日本車が一番というアメリカ人の同僚がいるし、エンジン、電気モーター、電気系、質感、信頼性、安全性などは日本が世界一をキープしていると言う同僚もいる。これから登場してくる日本の電気自動車も独創的でユニークなデザインになるようだ。僕は魂動デザインを謳うマツダが日本の自動車デザイン界をリードしていると思うけど、発表されたばかりの新型クラウンを見ると、トヨタはついにデザインに力を入れているとほっとする。
後発の日本が優秀なクルマを次々生み出したので、イギリス人の彼は実は嫉妬してたのかもしれない。
国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>