50年で個体数71%減 絶滅の危機にあるサメ・エイを救うSAARIの取り組み

『ジョーズ』で悪名高いサメやエイは種全体が危機に瀕しており、その責任は私たち人間にある


複数の種のために、複数の場所で急速に展開可能でスケーラブルなソリューションを提供することで、抜本的かつ持続可能な変化が触発されることをチームは望んでいる。これは過去に例がないことではない。回復に成功し個体数を増やした例はこれまでにいくつかある。たとえば、フロリダ州でのスモールトゥース・ソードフィッシュ(オオノコギリエイ)の回復、タバタハ(フィリピン)、カボプルモ(メキシコ)あるいはミスール(インドネシア)におけるサメとエイの復活などだ。こうした例は、地域でのサメとエイの個体数減少は、逆転が可能であることを証明している。「これらの成功から学んだ教訓を、まだ十分な数が存在している最も支援を必要としている稀少な種に対して適切に応用し、順応させスケーリングさせる必要があります」とチームは報道資料で述べた。



イニシアチブは、将来の回復区域に近い沿岸コミュニティを皮切りに、そのノウハウ、回復ツールを広く自由に利用できるようにするほか、サメとエイの回復に関心のある専門家や実践者に向けた無料教育も実施する予定だ。「海と海洋資源の責任ある管理者として、SARRIは保護作業を始める前に必ず、各プロジェクト地域のコミュニティから、事前に十分な情報を受けた上での自由意志に基づく同意を得ています。コミュニティのニーズを理解することで、SARRIはコミュニティがプロジェクトに最初から関わるだけでなく、回復作業による利益を共同デザインすることを重要視しています。これはすべての回復ゾーンにおいて不可欠な作業です」とSARRIは説明する。

「漁業に対する特別な保護を実施することによって、実際に個体数の回復を始めることができます。SARRIは、最も絶滅が危惧されているサメ・エイ類の住む場所の個体を保護するだけでなく、周辺の環境が個体数の増加に適していることを確認しています」とSARRIの創立者兼技術顧問で、ジェイムズクック大学の非常勤教授を務めるコリン・シンフェンドーファーは語った。さらに同氏は「SARRIはサメとエイが恩恵を受けるだけでなく、海を利用するすべての人々にとっても価値のあるイニシアチブです」と付け加えた

「私たちは、現在世界中に設定されているサメとエイのための重要な空間領域を特定しようとしています。そうすることで、このイニシアチブ存続中に回復可能な最も絶滅が危惧されているサメ・エイ類の個体数がわかるでしょう」とSARRIの創立者で、WCSのサメ・エイ保護担当ディレクター、ルーク・ワーウィックは語る。「今、正しく行動しなければ、今後数十年のうちに私たちはサメとエイを失うことになるかもしれません。彼らはあまりにも脆弱で、あまりにも早く消えてしまうため、効率的に管理された広大な保護区域を作ることがすぐにでも必要です」とワーウィックは結んだ。

Shark and Ray Recovery Initiativeの詳細と、専門家や実践者がどのようにSARRIと共同作業しているかについては、sarri.orgで知ることができる。

翻訳=高橋信夫

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