50年で個体数71%減 絶滅の危機にあるサメ・エイを救うSAARIの取り組み

『ジョーズ』で悪名高いサメやエイは種全体が危機に瀕しており、その責任は私たち人間にある

絶滅の危機にあるサメ、エイ類の残された最後の拠点を2030年までに救うために、私たちには何が出来るだろうか? そう、それは協力だ。

Shark and Ray Recovery Initiative(サメとエイ救済イニシアチブ)を紹介しよう。SARRIの略称でも知られるこの取り組みは、沿岸の人々、地域のパートナー、専門家らが力を合わせ、軟骨魚類(サメ、エイ、ガンギエイ、ギンザメなど)を世界規模で存続させようとしている。サメは映画『ジョーズ』などでは悪名高い役割を演じたが、今や種全体が危機に瀕している状態で、その責任は私たち人間にある。この強力な捕食者たちは、世界中で絶滅の危機にある。海洋中のサメとエイの個体数は1970年以来71%減少しており、その原因は乱獲にある。IUCN(国際自然保護連合)による絶滅危惧種レッドリストによると、現在1200種類以上あるサメ・エイ類のうち、37%が絶滅の危機に瀕しており、効果的で維持可能な管理が不可欠だ。

そこでSAARIの登場である。

それぞれの地域と種に合わせた管理基準を設け、現場でテストと保存方法の改善を繰り返すことで、SARRIは世界中の絶滅が危惧されるサメとエイを救うための青写真を作ろうとしている。「私たちは、サメとエイの保存における重大な局面にいます。管理基準の設定が有効であり種の存続に役立つことがわかっています。SARRIでは、最も注意を必要としている絶滅危惧種にこうした知識を重点的に適用し、地域コミュニティや利害関係者の支援を受け、状況に応じた解決策を確実に適用できるようにします」と、SARRIの創立者・技術顧問でElasmo Projectの創立者でもあり、IUCN SSCサメ専門家グループ議長も務めるリマ・ジャバド博士はいう。

「真の変化を起こすために、私たちは残っている個体を保護して現状維持しようというこれまでのやり方から、サメ・エイ類の個体数を過去の栄光へと復活させ、彼らが再び海洋の健全なバランスを保ち、生態学的機能を満たせるようにするやり方へと焦点を移す必要があります」と、SARRI創立者でWWFの国際的サメ・エイ保護プログラムであるSharks: Restoring the Baanceのリーダー、アンディ・コーニッシュ博士は説明する。

SARRIは、2033年までに少なくとも15の個体群について、この大仕事を成し遂げたいと考えている。その取り組みは、こうした幅広い有機的な回復プロジェクトを促進するために必要な専門知識を触発し習得させることを目的としている。一種の波及効果のようなものだと思ってほしい。SARRIは静かな水面に投げ入れられた小石で、深く沈んでいった後に残るのは広がっていく一連の波だけだ。
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翻訳=高橋信夫

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