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2020.02.04 06:30

アディダスがプラスチックごみ再生素材で挑む、海洋環境保護

アディダスUltraBOOSTパーレイ・リミテッド・エディション・スニーカー(2018年6月)(Photo by Neilson Barnard/Getty Images for adidas)

アディダスUltraBOOSTパーレイ・リミテッド・エディション・スニーカー(2018年6月)(Photo by Neilson Barnard/Getty Images for adidas)

アディダスは5月14日、海洋汚染を防ぐため海岸などで集めたプラスチックごみをリサイクルした素材「プライムブルー」を使った新製品を発売する。だがこのプライムブルーは、一足先に別のところで役に立っている。スーパーボウルを前に、フロリダ州にあるマイアミエジソン高校のフットボール場に、持続可能な合成素材として提供されたのだ。

アディダスは、海洋保護団体「パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ(Parley for the Oceans)」との提携プロジェクトを拡大して、フットボール場の施工業者と協力。人工芝の充填剤として、従来の再生ゴムの代わりに、海洋プラスチックごみの再生素材20トンを提供した。

これと並行して、アディダスはパーレイとの協力の下、マイアミに新たに「パーレイ・オーシャン・スクール」を開設した。各種イベントを通じて、海洋環境問題に関する情報発信や教育を行う場だ。

アディダスのブランド戦略本部長ジェームズ・カーンズ(James Carnes)は、「我々はパーレイと共に、自社製品に新素材を導入する以上のことをしていこうとしている」と語る。「これは、我々が対処するべき大きな問題であることを、皆さんに理解していただきたい」

アディダスは以前からパーレイ・オーシャン・スクールを支援しており、スポーツは、海洋環境保護の重要性を示すのに役に立つ自然なプラットフォームだとカーンズは述べる。各種イベントを通じて、海洋プラスチックごみの問題に関する情報発信や教育を行うパーレイ・オーシャン・スクールを開くことで、「この問題を重苦しいものではなく、刺激的で根底的なもの、人々がワクワクできるソリューションを提案するものにすることができる」とカーンズは考えている。

アディダスは、スーパーボウルが開催された週に合わせて、アディダス×パーレイの限定コレクションを発表。「Adizero x Parley Cleat」や、「4D Run 1.0 x Parley 」、「Ultraboost 20 SB」などのプロモーションを展開した。

これは、2024年までに再生ポリエステルの使用割合を100%にするという目標の達成に向けた取り組みだ。同社は2021年までに、MLS(メジャーリーグ・サッカー)からNHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)、NCAA(全米大学競技協会)フットボールから米バレーボール協会に至るまでの主なスポーツ・パートナーが、再生ポリエステル素材のユニフォームに切り替えることを期待している。

「プラスチックごみを減らしたいなら、全てをリサイクルする必要がある」とカーンズは言う。「我々は、自社で使う全てのプラスチック化合物について検討を行い、代わりの素材を見つけようとしている」

ポリエステルは最も古くから、かつ最も多く使われている化合物のひとつだ。新品ポリエステルではなく再生ポリエステルを使えることは、アディダスにとって大きなチャンスだ。
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翻訳=森美歩/ガリレオ

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