村上:私も女性として、「働く女性支援」や「こどもの貧困支援」は取り組み続けたいと思います。それに加えてですが、「政策提言するNPO法人への支援」、そして「女性政治家を増やすための支援」にも取り組みたいと思っています。
NPO法人の活動は、セーフティネットから抜け落ちている人たちを支援する大事さがあります。それに加えて、NPO法人が政策提言をすることで、政府が政策を変えて法整備をし、全国に普及させることも重要だと思っています。
また、NPO法人が政策提言するにあたり、意見交換や伴走支援をする政治家も大事だと思っています。日本には、そういう政治家はまだ少ない。ピンポイントかもしれませんが、女性政治家を目指すような候補者をサポートすることもしていければと思っています。そのために、22年8月、「政治家を志す10〜30代のパブリックリーダー塾」も始めました。
PWCコンサルティング合同会社と財団の共同調査によれば、女性政治家が増えると、こども支援や教育支援、家族支援、医療支援といった生活に近い政策が上がってくること。また、それらの財源も増えるということがあります。今後は、NPO法人などへの寄付の拡大、そしてプロジェクトも設立し、活動を加速させていただきたいと思っています。
今井:政策提言については、村上財団さんと一緒にできないかという話をしています。ユキサキチャットについては、虐待や生活困窮、ヤングケアラー、性被害を受けている女性をはじめ、様々な若者たちからの声が届きます。
様々な観点から調査することは可能なのですが、我々がすべて調査できるわけではありません。現在は、緊急支援、食糧支援している若者たちの初期情報を分析しているにすぎません。それ以外の2〜3割いる不登校や引きこもりの若者たちに関しても、データ自体は持っていますが、調査などができているわけではない。まだできていないデータの分析などを一緒にやっていけないかという話はしています。
村上:D×Pが持つ現場データは、政策提言において、すごく活用できるのではないか、と感じていますね。
今井:支援現場では、調査したい項目が数多くあります。例えば、オンライン相談がきっかけで「助けて」という声が言いやすくなるのかとかも知りたいと思っています。ユキサキチャットが広告なしでこれだけ広がっているので、オンライン相談が重要だと思っていますが、政府の困窮者のオンライン相談はないので、もう少し訴えていくことはできないかというのは思っています。
寄付型NPOで大きいと思うのは、事業規模が数千万円、1億円程度の小規模のNPOが「もの言えるようになってくる」ということ。そのインパクトは大きいですね。企業ではありえないですから。
また、TwitterなどSNSで発信をしているだけでも、町長、市長さんクラスからメッセージがきます。具体的に言うと、内藤佐和子・徳島市長からはそのメッセージをきっかけに連携がはじまりました。現在では、徳島市の市役所内の各窓口や大学などに、ユキサキチャットのチラシと案内カードを設置してもらっています。非公表ですが、他の自治体もそうした形になっています。