テクノロジー

2022.08.10 06:00

「アイデアは計画ではない」アポロ13号のクルーが教える教訓(その4)


宇宙ステーションが実現しなかった理由の1つは、何度も設計を見直したにもかかわらず、予算に対してコストが膨らんでしまったことだ(また、ソビエト連邦の崩壊により、ロシアが宇宙とのパートナーシップを再構築することになり、最終的に国際宇宙ステーションにつながった事情もある)。ヘイズは著書の中で、グラマンがプロジェクトマネジメントを担当していたことから、ステーションを「私の次なる冒険」と表現していた。

ヘイズが指摘する、宇宙ステーション「フリーダム」に取り組んでいる間に直面した多くの問題は、議会での「異論の多い」資金調達の議論、敵対的なメディア、資金削減に対処するためにグラマンを3度再編成したこと、NASAの責任者レベルの幹部の交代(ヘイズの在任中、3人の異なる人物が立て続けに着任した)などだ。

フリーダムから得られる教訓は数多くあるが、ヘイズにとっては、一部の主要なプレイヤーがプロジェクトマネジメントを理解していなかったことが大きな要因だった。

「計画があると口にしても、彼らは実際には何のアイデアも持っていませんでした。その時点ですでに失敗していたのです」と、ヘイズはフォーブスに語っている。それに比べて、成功するプロジェクトは「作業範囲と要件が、予算や財務スケジュールの範囲に展開されていますし、ときには作業範囲のレベルまで落とし込まれる場合もあります」

コストに関しては、宇宙プロジェクトは複雑で、予算をオーバーすることがよく知られているものの、ヘイズはプロジェクトマネージャーの責任の1つは、「大まかな桁」の中で費用を見積もることだという。そして必然的に発生する問題に対して、ソフトウェアを使ってスケジュールやクリティカルパスなどのプロジェクトを成功させるための要素を管理することができるのだ。

翻訳=酒匂寛

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