7月16日、フロリダ州ケネディー宇宙センターからアポロ11号は宇宙飛行士3名と搭乗員3名を乗せて発射され、20日についに月面着陸を開始します。アポロ11号には2台のテレビカメラが搭載され、月面着陸の様子は世界中で同時生中継されました。
これに先駆けて日本の家電メーカーは、カラーテレビの増産と販売促進を図りました。キャッチコピーは「月面着陸をカラーで観よう」です。
1969年の旧通産省による工業統計によると、この年のカラーテレビの生産台数は約483万台で、4年前の1965年と比べると48倍にもなったそうです。この業績をもたらしたのはアポロ11号にほかなりません。
日本のテレビ各局は、発射前からアポロ11号に関する特番を組み、お祭りのような状態になっていました。新聞のテレビ欄では「アポロ11号飛行予定時刻表」といったように、細かい時間単位でアポロ11号のスケジュールを記載した特集も組まれました。
そしてついにアームストロング船長が月に降り立った瞬間、世界の5億人以上がテレビでその様子を見守りました。日本のテレビ各局にとって誤算だったのが、月に降り立った映像がモノクロだったこと。重量制限により、アポロ11号へはカラー撮影用のビデオカメラを搭載することができなかったのです。
連載:今日は何の日?