「大規模チームが問題を解決する方法」アポロ13号のクルーが教える教訓(その3)

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ハリウッドは、現実の宇宙緊急事態をどこまで描けたのだろうか。

1995年、映画『アポロ13』は、歴史に残る有名な危機状況を、2時間半の冒険物語に凝縮して生まれ変わらせた。トム・ハンクス主演のこの映画は、現在でもレビューサイトMetacritic(メタクリティック)上でおおむね高評価を受けており、宇宙ファンの間では映画史上の名作とされている。

宇宙飛行士のジム・ラヴェル、フレッド・ヘイズ、ジャック・スワイガードが実際に体験した冒険は、もちろん2時間半で見せられるものよりもはるかに複雑だったが、ミッションに参加した宇宙飛行士の1人は「現実をかなり反映している」と語っている。ヘイズは「それは、人間と課題の物語でした」という。

インタビューのきっかけは、彼の回顧録『Never Panic Early(慌てるな)』が出版されたことだった。本書はビル・ムーアとの共著で、ペンギン・ランダム・ハウスから発売されている。5回にわたって、ヘイズがミッションから学んだ5つの教訓を紹介している。2回目のレッスン「そのときある物で試せ」はこちらのリンクから。


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この連続記事の第1回「慌てるな」で見たように、アポロ13号では、3人の宇宙飛行士と数千人の地上部隊が、月に近い宇宙空間で起きた緊急事態に対処した。このミッションは、ヘイズの本の中では、ほぼ一章だけに留められている。なぜなら、彼が控えめに語ったところでは、アポロ13号はすでに映画、ドキュメンタリー、本(映画の原作となったアポロ13号の船長ラヴェルが共同執筆した回想録を含む)で頻繁に取り上げられてきたからだという。

ヘイズは、彼が宇宙船に搭乗している間、NASAの管制官とその世界中に広がったサポートチームが、被災した宇宙船を帰還させるために24時間体制で作業の大部分をいっしょに行ってくれたことを強調した。
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翻訳=酒匂寛

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