ビジネス

2022.07.28 17:30

派遣事業で始まったBABYJOBが、日本初「おむつサブスク」を誕生させるまで


おむつサブスク「手ぶら登園」誕生秘話


──「手ぶら登園」はどのように生まれたのでしょうか。

実は最初の創業事業は「お母さん特化の派遣事業」で、その名もスーパー・ストロング・マザー(SSM)という会社でした。

きっかけは前職のユニ・チャームで営業をやっていたときの、子ども用品専門店におけるおむつ販売イベント。売り子さんとして学生やフリーターの方が多く派遣されてくる中で、たまに「お母さん」が来てくれるとトークの説得力が違って、販売量も段違いだったんです。加えて、ちょうど私の妻が二人目の子どもを産んだばかりで、なかなか妻が社会と接する機会が無い状態を見ていました。土日に家に子どもを預けて、「お母さんの力」を使って世の中に価値を提供することができたらかっこいいなと思ったのです。

そこから、「お母さん」ばかりを派遣してくれる会社があれば日本が元気になると思い、起業しました。


BABYJOB 代表取締役社長、上野公嗣(提供:DIMENSION NOTE)

──そこから保育所運営事業で急成長を果たされます。


当時は今よりも待機児童の問題が深刻で、そもそも保育所が足りなくて預けられない、ゆえにお母さんが活躍できないという社会構造でした。あの「保育園落ちた日本死ね」ブログが話題になった頃(2016年)を契機に保育所が急増していった時代で、我々もまずは保育所を運営し始めました。

現在は全国に40カ所以上の保育所を運営しています。しかしながら「お母さんが活躍する社会を実現」するために保育所を作ったはずなのに、実際に子どもを預けに来るお母さんたちの朝の姿がとにかくしんどそうで(笑)。

0から2歳児だと夜泣きもあるので睡眠不足だし、お母さんたちは朝から晩まで様々なタスクに追われています。そんな生活の中で、「おむつに名前を書いて持ってくる」「使用済みおむつを持って帰る」という不合理があることに気づきました。「元気よく働きに行くお母さん」は、こんな不合理を強いる今の保育所のインフラだと出来ないと考えたのです。

──ビジョンは共通しながらも、保育所運営の経験の中から「手ぶら登園」は生まれたのですね。

保育所の根幹は子どもの安全、発達をお約束するというもので、それが最も大切なことだというのはわかっています。けれども、少しでもいいから多忙な保護者に手を差し伸べてあげることができたら、もっと「子育てが楽しく」なるのではないか。子どもにとっても、生活の半分以上を占める家庭にいる時間が楽しくなるのではないか。

そういった子どもと保護者が楽しく過ごせる環境作りを通して、子どもの人生や発達を支えていきたい。そんな想いから「手ぶら登園」は生まれました。

文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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