古い考え方や行動を捨てる「アンラーン」で急激に変化する現代を生き残る

アンラーニングとは新たなラーニング(学習)だ

私たちは生涯さまざま学習に時間を費やしているが、現在の変化しつづける経済の中では、どれだけ「アンラーン(学習棄却)」できるかが同じくらい重要になりうる。学習は新たな知識を積み上げることだけではない。別の時代に自分のキャリアを規定してきた知識が、今は邪魔になっているかもしれない時、それをアンラーンすることも求められている。

すなわち、アンラーニングとは新たなラーニング(学習)である。

それが、ノーバディ・スタジオの創業者・最高インキュベーション責任者で『Unlearn: Let Go of Past Success to Achieve Extraordinary Results』の著者バリー・オライリーの言葉だ。同氏は、前進を抑制する重大な要素の1つは「学習する能力のなさではなく、古い考え方や行動などかつては効果的だったが今や成功を妨げている知識をアンラーンする能力の欠如」だと観察する。

オライリーは、そういったものを「アンラーニング」を通じて捨て去ることを奨励する。かつて役に立った考え方や身につけた慣習から自由になり、見直し、自らを遠ざけるプロセスだ。イノベーションにおける真のブレークスルーが起きる前には、「古いモデルや考え方や行動から離れる必要があります」と彼はいう。「それは、知識や経験を忘れたり、除去したり、捨てるということではなく、時代遅れの情報を手放し、効果的な意思決定と行動に役立つ新しい情報を積極的に取り入れる意識的な行動です」

アンラーン能力の開発とは、「過去の自分に成功をもたらしたが、今は未来をつかむ妨げになっている基礎知識や認知習慣を手放す」ことを意味している、とAutomation Alleyの国際ビジネスサービス担当ディレクターであるノエル・ネヴシェアが、世界経済フォーラムで発表したエッセイで述べている。「その変化には、ますます複雑化する今日のテクノロジーの急成長に対応し、異なる角度から世界を見るための変革的な方法を取り入れることも含まれます」

シリコンバレーのスタートアップアドバイザーで、Stripe(ストライプ)、Twitter(ツイッター)、Google(グーグル)、Yahoo(ヤフー)などで製品開発に携わったシュレヤス・ドーシーは「学校で大成功した人の中には、期待された潜在能力をビジネス世界で発揮できない人がいます。一方で、学校で並かそれ以下だったけれども、驚くほど成功した人生を送る人もいます」と指摘する。
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翻訳=高橋信夫

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