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2022.08.04

柿ピーなのに柿の種ゼロ? 亀田製菓「黄金バランス」誕生秘話

(提供:亀田製菓)


実は2019年の「国民投票」では、比率に対するお声以外にも、「亀田の柿の種」に対する様々な本音を聞く事ができました。

その中には、「比率は変えなくていい、どうせ家族で食べるし。自分は柿の種しか食べないけど」「逆にピーナッツだけでいい、ピーナッツだけ食べたい」「ピーナッツは夫に全部食べてもらう」など実にさまざまな声があったのです。

もともとは「比率」に関する調査だったにもかかわらず、結果として、「亀田の柿の種」というブランドが消費者にとって実に多様な可能性を秘めていること、さまざまな関わり方があることがわかってきたわけです。

「マーケティング手法での分析」などでは歯が立たないほどに多様な、食べる人と「亀田の柿の種」との関わり方の声。それらを聞きながら、社内で「今後の(国民投票後、黄金バランス決定後の)施策をどうするべきか」の議論をしていったのですが、「うーん、いったいどうしたらいいのか」、と途方に暮れてしまったんです。

だったら消費者に聞いてしまえ! からの、「ピーナッツだけ」誕生


そこで、「だったら(比率以外のことも)消費者に聞いてしまえ!」となりました。

具体的には2020年9~11月、「亀田の柿の種 何なの?問題」と称し、本格的に、オンラインイベントや投票キャンペーンなどを実施し、10万件以上の「お客様の声」を集めました。そして消費者の方々のアドバイスをもとに「お客様の声検討委員会」を発足させ、亀田の柿の種を砕いて「カツカレーの衣」に使用した、石川県の「チャンピオンカレー」とのコラボ商品「亀田の柿の種 Lカツカレー」や、ピーナッツの代わりに「イカ天」「素焼きアーモンド」などと組み合わせた商品を、期間限定で発売しました。


注:既に製造は終了

実は「ピーナッツだけ」のテスト販売は過去にすでにしていたのですが、本格的に「ピーナッツだけ」を商品化し、市場に問うことが決まったのは、この「亀田の柿の種 何なの?問題」キャンペーンがきっかけだったのです。

ピーナッツにも米菓の製法を応用?


そして2022年3月、柿の種100%の『亀田の柿の種 ピーナッツなし 6袋詰』と、ピーナッツ100%の『亀田の柿の種 ピーナッツだけ 6袋詰』が誕生しました。

「亀田の柿の種」のキャッチコピーである「いつでもカリッと」の「カリッと」はピーナッツにもかかる形容詞です。それだけに、「亀田のピーナッツ」の品質にも妥協はありません。カリカリとした食感を生み出す製法を徹底的に研究しています。

製法は企業秘密ですが、米菓製造で培われた技術がピーナッツの製造にも活かされています。

また、先ほどもお話しした通り、ピーナッツは酸素にとても弱く、袋からお皿にあけたまさにその瞬間から劣化がどんどん進んでいくんです。それを防ぐために、パッキングの際に酸素を窒素置換しています。そういったこともおいしさをキープする要素のひとつですね。
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編集=石井節子 構成協力=岡田麻衣子

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