「生徒」たちの劇的な話し方の改善ぶりと実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれるカリスマにコーチングを乞うリーダーたちからの ”SOS” は引きも切らない。著書『世界最高の話し方』(東洋経済新報社)も実に11刷、15万部を超えるベストセラーとなっている。6月にはその続編ともいえる『世界最高の雑談力』が刊行された。
その岡本氏が、これまでのエグゼクティブ対象の個人コーチングの枠を飛び越え、次世代若手リーダー対象にコミュニケーションの寺子屋「世界最高の話し方の学校」を開校した。5月のある土曜日の朝、20名の1期生たちが都内某所の一室に集まった。
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「ソーシャルキュー」が伝える情報は少なくない
冒頭、岡本は受講生に、「皆さんのコミュ二ケーションの悩みはなんですか?」とたずねた。すると1人の女性受講生が、「相手の反応が気になりすぎて、主張したいことが言えなくなること。たとえば、聞き手の方がつまらなそうに聞いていると、話を端折ってしまう、伝えたいことを話しきることができない」と答えた。
岡本が言う。
「まさに、人は、秒刻みで『ソーシャルキュー(社会的合図。顔の表情や声の高さ大きさ、姿勢、目の動きなど、言葉以外の手段で、多くは無意識のうちに送られるシグナル)』と言われるメッセージを発しているんです。女性はとくに、相手のそういうシグナル、感情を読み取る力が強いので、逆に自分からの出力がしにくくなることがあるんですね。
この講座では『ソーシャルキュー』をうまく受け取りながら、上手に発信・出力していくスキルをお教えしていきます」
「30万人のビジネスリーダーが選んだ「リーダーに必要な資質」
「それでは、ハーバード・ビジネスレビューが調査した、『30万人のビジネスリーダーが選んだリーダーに必要な資質』をみてみましょう。
1位は『やる気を刺激し、インスピレーションを与える』。2位は『高潔性、誠実性を示す』。3位は『問題を分析し、解決する』。
じつは、こうしたリーダーに必要な『資質』のいずれもが、『話し方』の改善で後天的に体得できます。それどころか、話し方さえ制すれば『人生』も制圧できるのです。それなのに、日本の学校教育に『書く、読む』はあっても『話す、聞く』のプログラムがほとんどない。これは、非常に残念ですね」「話し方が思考そのものを規定してしまう。日本人のリスク回避志向、自己肯定感の低さはまさにコミュニケーションに起因している側面も大いにあるでしょう」