新型コロナ重症化、年齢以外の最大リスクファクターは「自己抗体」

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より高濃度のIFN型自己抗体(10ng/mL)の場合も結果は同様であったが、保有者の相対的死亡率はさらに顕著に上昇した。

濃度別では、IFN-α2とIFN-ωの両方を中和する自己抗体を持っている人の相対的死亡リスクが最も高かった(図1)。

また、マンリー博士らは、IFN型に対する自己抗体を持つワクチン未接種者の感染致死率(IFR、感染時に死亡する割合)を、性別、年齢層別に評価した。この結果をワクチン未接種者の一般的な感染症致死率と比較した。

ここでも、自己抗体保有者の感染致死率は有意に高かった(図2)。自己抗体の濃度が低い人でも60歳では10%、80歳以上では40.5%という驚くべき感染致死率であることがわかった。自己抗体の濃度が高い人は、感染時に亡くなる可能性がさらに高かった。ちなみに、SARS-CoV-2の世界的な感染致死率は1%程度で推移している。

相対的死亡リスクとは異なり、感染症致死率は年齢とともに着実に上昇する。

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図2。SARS-CoV-2のIFR(年齢別)。示されたIFRは、男女(灰色)、男性のみ(青色)、そしてIFRAAB(緑色)は低濃度のIFN-α2またはIFN-ωを中和する自己抗体を持つ個人を示している。 (CC4.0参照元:Proc Natl Acad Sci U S A. 2022 May 24;119(21):e2200413119. doi: 10.1073/pnas.2200413119.)

特に男性の自己抗体保有者は致命的な結果を招きやすい。高濃度の男性自己抗体保有者は、自己抗体の組み合わせや年齢層にかかわらず、同濃度の女性保有者に比べてSARS-CoV-2感染で死亡する確率が5倍高かった。これは、女性に比べて男性の方が重症化するリスクが高いという、より一般的なCOVID-19の知見を反映している。

まとめ


I型IFNを中和する自己抗体を持つ人は1〜4%に過ぎないが、年齢層別では常にCOVID-19死亡者の約20%を占めている。年齢以外では、I型インターフェロン自己抗体の存在が性別、一般的な基礎疾患、およびほとんどの遺伝子変異よりも、COVID-19重症化の最も強い予測因子だった。今後は、IFNの各型に対する自己抗体がどのようにして、またなぜできるのか、そしてその産生を防止できるのかどうかに焦点を当てた研究が必要だ。

翻訳=酒匂寛

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