その中でも、プラスチックは年間2200万トンが廃棄されており、海洋流出による生態系への被害や廃プラ処理の際の焼却・燃料化による地球温暖化促進など、様々な悪影響を与えている。
しかしそんな状況の中でも、プラスチックの生産量は世界中で加速度的に増えている。プラスチックの大量生産・消費・廃棄に基づかない「持続可能でサーキュラーな未来」は、どのようにしたらつくれるのだろうか。
「消費者と企業が相互に協力し合い、ともにプラスチック削減を目指した循環型社会を作り上げていく必要がある」
そう語るのはWWFジャパン プラスチック政策マネージャーの三沢行弘。WWFジャパンでは、その実現を目指し、2022年2月に「サーキュラー・エコノミー」への転換を図る企業プラットフォーム「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」を設立。飲料・消費財メーカーなど計10社が参加している。
本プラットフォーム発のイベントとして、6月1日には「みらいダイアログ」を開催。専門家や企業、行政、学生などの多様なプレーヤーを呼んでパネルディスカッションが行われた。
『もったいない生産』はやめるべき
第1部では、持続可能なビジネスの創造を目指す5企業(キリン、日本航空、日本コカ・コーラ、ネスレ日本、ユニチャーム)と専門家が、それぞれの取り組みや展望について語り合った。
まず、企業が築いていくべき「未来」について、専門家からは以下のような意見が提示された。
「より少なく、価値の高い製品を生産する“超付加価値化”が進むでしょう。また、所有権を売るのではなく、使用権を売る“脱物質化”に切り替えていくことも必要です」(京都工芸繊維大学未来デザイン・工学機構、水野大二郎教授)
水野大二郎教授
「たとえ地球に迷惑をかけない生産だからといって、ムダなモノを生産する『もったいない生産』はやめるべき。それこそがサーキュラーエコノミーだ」(大学院大学至善館、枝廣淳子教授)
枝廣淳子教授
続いて、「持続可能なサーキュラーエコノミーへの転換を企業がどのように設計し、実現するか」という問いについては、第一に「人材育成」、そしてサステナブルな商品の「可視化」が挙げられた。
特に「サステナブルな商品の可視化」には課題がある。生産にコストがかかり商品価格も上がるため、その価値を見出せないという消費者が多い。