居続けられるとどうなるか?
採用上の判断ミスは必ず損失を生む。
採用したのは間違いだったとすぐに判明し、その人物が短期間で去ってくれるなら、まだ損失は小さくてすむ。それでも短期的には痛手だ。ポジションの空席状態が長引くかもしれないし、面接担当者たちの時間も浪費されたことになる。優秀な候補者を遠ざけてしまったかもしれない。
最悪なのは、不適格な社員が会社に居続けた場合だ。
その社員は誤った判断を下し、いくつもの弊害をもたらす。チーム全体の水準を引き下げる足枷となり、会社を去ったあとも残る長期的損失をもたらす。ジョー(注:本書で前出。拙速なプロセスで採用された社員)の採用に伴う長期的損失がどのようなものであれ、彼を採用した上司のリアとそのチームは自分たちが犯した過ちの代償を支払うことになるのだ。
実際、そうなった。
ジョーが職務をまっとうできないことが判明し、ほかのメンバーたちは何時間も余計に働くことになった。彼ができない仕事を肩代わりし、彼の失敗を取り繕うはめになった。
採用から半年後、ジョーはリアと話し合い、自分が適任でないことを認めて去って行った。
チームは相変わらず時間に余裕がない状態で、誤りを繰り返すのではないかという不安を抱きつつ、採用プロセスを一からやり直すことになったのである。
『アマゾンの最強の働き方』2022年、ダイヤモンド社刊、コリン・ブライアー/ビル・カー著、紣川謙 監修、須川綾子訳