ビジネス

2022.06.01 18:00

「商品への満足」を継続させる、顧客コミュニケーションの秘訣


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顧客の課題ドリブンで商品を作る


──単発ではなく、ヒット商品を次々と世に出すために心がけていることがあれば教えてください。

まずは単純に数をこなすことです。我々は「びっくりするほど良い商品ができた時にしか発売しない」という方針のもと、独自の商品開発基準として750項目を設定し徹底したモニター調査を行っています。発売する数は多くなくとも、その前段階では何百というプロジェクトがあって、商品開発も何十と同時進行させているのです。

基準を満たして発売に至るのは開発案件のわずか2%。その選定基準は大きく2段階に分けられます。

まずは「市場があるか」どうか。机上の空論で良いので商品コンセプトを企画し、アンケートや調査によって実際に市場・ニーズがあるかを調べます。この時点で10のアイデアがあれば9つはボツになるくらい、「発売できれば売れる」商品を企画するのは難しいものです。

2段階目が「実際に作れるか」どうか。弊社には3〜4年ずっと試作品を作り続けている商品もあるほど、売れるコンセプトを実際に商品価値として実現するのは難しいことです。

まずは数をこなすこと。そして圧倒的な顧客満足と品質管理を追求すること。これがヒットを生み出す唯一の道だと思っています。

──D2Cのスタートアップは商品カテゴリを増やすタイミングに苦労するケースが多い印象だが、新規カテゴリをどう開拓してきたか。

あまり商品カテゴリを広げるという考えはありません。なるべく健康食品・化粧品という大枠は決めてはいますが、目的は「人の生活上の悩みを解消する」ことであって、手段として健康食品・化粧品になっているだけ。それが男性特有の悩みだったら結果的にメンズコスメになる、という順序です。

例えばアイキララという商品の開発では、「目の下にできるクマを解決する商品を作ろう」というゴール設定のもと、色々なメーカーに打診をして試作品を作りました。この段階では化粧品も健康食品も両方混ざって、いろんな商品カテゴリがある状態です。

そこからどの商品が一番効果を感じるかというモニター調査を行い、結果的に一番効果が出たのがクリームでした。商品化された後に世間的にこれが「アイクリーム」と呼ばれる商品カテゴリだと知ったほどです。

我々は「目の下にできるクマを解消するもの」を目指してアイキララに行き着きました。決して「アイクリーム」を作ろうとして作ったわけではない。このようにまず「顧客の課題」から商品開発を始めるのが重要なのではないでしょうか。
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文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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