ゴッドスコーピオンは、画像認識やトラッキング技術の発達やAPIの普及によって、都市内の情報の表示や整理が可能となったことを指摘。「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」とはSF作家アーサー・C・クラークの言だが、ゴッドスコーピオンはXR技術を魔術と呼び、物理的身体に束縛されずに意識だけを遠くに飛ばすことが呪術的なものでなく事実として存在するのが面白い、と語る。
また、XR技術の発達で、リアルな土地と紐付いたナラティブを視覚的・体験的に提供できるようになったり、目の前のモノにデジタル上で新たな機能を付与するなど、土地やモノに対する新たなアクセスのあり方が期待できるとした。
これを受けて、杉山はXRコンテンツのふたつの方向性を挙げる。ひとつは、メタバースによって参加者それぞれが物語の主人公となるようなストーリー体験が可能となるため、ゲーム性のあるコンテンツが広まっていく、ということ。もうひとつは、例えば関ヶ原に行くとかつての合戦を追体験するなど、それぞれの土地の歴史に応じたコンテンツがつくられていくと面白い、と期待を寄せた。
そして、日本は世界でも有数のIP大国であり、さらに日本人は平面よりも空間に対するクリエイティビティに長けているのでは、といった将来性を感じさせる自論も明かしていた。
また杉山は、メタバース空間でのアバターは性別や年齢といったさまざまな現実的制約を越境できるため、ダイバーシティにも寄与する可能性を示唆。ゴッドスコーピオンも、Psychic VR LabではVR空間で入社面接や入社式を行ったため、リアルな身体を一度しか見たことがない新入社員もいると笑う。このように、今後は身体性にもグラデーションが生じてくる未来を予兆させた。
メタバースのある未来
そして、モデレーターの瀧口が重ねて「メタバースが浸透した社会の形」を尋ねる。ゴッドスコーピオンは、16年に伊勢丹新宿本店のファッション展示会で導入したVRファッション体験「FLASHBACK MEMORIES」を引き合いに出しながら、XRデバイスを通じてものの歴史を視覚的に追体験したり、主観の世界での改変可能性を示し、改めて感覚のあり方が変容していく未来像を提示。
杉山は街という観点から、例えばメタバースでの行動によって特別なエリアへの入場が許されるなど、デジタルとリアルが融合した特別な体験を提供することで、普段の生活をより楽しくできると話した。
最後にメッセージを求められた両者は、次のようにセッションを締めくくった。
ゴッドスコーピオン「色々技術が出てくるけれど、体験してみないとわからない。機会があれば、実際に体験をしてみて、自分がどう感じるかをやってもらえたらと思います」(ゴッドスコーピオン)
「『MEET YOUR ART FESTIVAL 2022 “New Soil”』に参加して感じたのは、アート作品を観るということは他者の考えを理解する行為だということです。作品を鑑賞者として観ることは、作者の意図を考えてコミュニケーションをすることであり、新しい観え方を広げてくれる行為なのです。メタバースやXR技術が広がれば、アートと同様に新しい観え方を見せてくれると思います」(杉山)
MEET YOUR ART:https://www.youtube.com/MEETYOURART
MEET YOUR ART FESTIVAL2022’New Soil’:https://avex.jp/meetyourart/newsoil/
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