ビジネス

2022.06.16

「個人の夢や変えたい景色が次の未来につながる」若手起業家ふたりがSDGsを自分ごとに出来た理由

村木風海(中央)と平原依文(右)

5月13〜15日にかけて、恵比寿ガーデンプレイスで開催された「MEET YOUR ART 2022 “New Soil”」。「国内最大級のアートとカルチャーの祭典」と銘打たれた新しい時代の横断的カルチャーを取り上げた本イベントのステージでは、新しい時代をつくろうとチャレンジを続ける次世代の活躍を応援するForbes JAPANとテレビ朝日による共同プロジェクト「FUTURE TALENT PORT」から、3つスペシャルトークセッションが行われた。

本稿ではそのひとつ、Session1「持続可能な人と、街と、仕事と共に生きていく」の内容をお届けする。

本セッションに登壇したのは、日本の学生と世界の社会起業家をつなぐ教育プログラムなどを展開するWORLD ROAD共同代表の平原依文と、二酸化炭素の空気回収技術を専門に研究する化学者で発明家、炭素回収技術研究機構(CRRA)代表理事・機構長の村木風海。村木は、2019年に19歳でForbes JAPANの「世界を変える30歳未満の30人」にも選出されている。

セッションではまず、ふたりそれぞれが現在のプロジェクトを立ち上げるに至ったヒストリーを紐解いていく。平原のWORLD ROADは「地球をひとつの学校にする」というミッションを掲げ、学校や組織の学びたい内容に合わせて、各国からゲストを招いたグローバルな教育プログラムな展開。

ここには「誰もが先生、生徒になって学び合えるような、世界中にある境界線を溶かしたい」という平原の思いがあり、この思いを抱えるきっかけとなった小学生時代の出来事を紹介した。

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もともと内気だった平原は、事実婚家庭であることを理由に小学校低学年ながらいじめの被害に遭った。最初は抗っていたものの、徐々に抵抗する声も出ないような状態にまで追い詰められてしまう。2年生になったとき、同じクラスに転校してきた中国人の女の子もいじめに遭うが、彼女はいじめに対してまったく折れようとしない。

平原が「なんでそんなに強いの?」と問うと、彼女は「私は中国人だから。(中国では)日本のように公費で良い教育を受けられるのは貴重だし、みんな自分の意見を言う。自分の人生だから、自分のことはちゃんと声を上げて言うよ」と答えたという。その言葉に、平原は強い感銘を受けた。

そして、平原は中国・上海に旅行として訪れ、そのなかで喜怒哀楽をはっきりと表現する現地の人々の姿を見て、中国への留学を決意。自らの足で多くの学校に編入を直談判すると、全寮制の学校1校だけが受け入れを許可してくれた。こうして8歳にして単身中国へと留学した彼女は、環境の影響もあり自身のアイデンティティを確立・表現できるようになっていった。
次ページ > 教育の重要性を理解し、WORLD ROADを設立

text by Michi Sugawara|photographs by Kayo Igarashi|edit by Yasumasa Akashi

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